LUCID NOTE LUCID NOTE | Music show reports and Play stage reports

ファウンテンブルーに染まって~レコ発ワンマンライブ~

LUCID NOTE SHIBUYA

やっちまったな。

//

今日は不定期に続けているカドワキ・ウオッチ。メジャー初ALのリリパへ。円山町。

渋谷のライブハウス界隈には、とりあえず音量を最大限に出しておけば、その爆音だけで圧倒させて、終わったあとはスカッと爽やか、いいライブだったね、となることを狙ったようなライブがある。数日後、いいライブだったはずのライブの映像やら音源やらを見返すと、現場で聞いた音とはまったく違う音にがっかりして、やっぱりライブは生だよね、などと思わせて次のライブに足を運ばせる、までがテンプレート。聴き手側にとってはとてもやっかいなシロモノだ。

ふだんはアコースティックに活動しているひとが、いざバンドでやるとなったときに安易で暗黙的に使ってしまうそのテンプレートは、ミュージシャンには使い勝手がいいらしい。なんたって爆音で聴かせるだけだから、失敗も誤魔化せるし、演奏が上手いのか下手なのかさえもわからなくさせることができる。ただしそれを繰り返していくと、いつかは気づくんだ。これってただの爆音。音楽じゃない。楽曲の良さとか、パーソナルな個性とか、持ち合わせている音楽性とか、どれだけステージで表現しても、すべてが台無しになる。

一方の聴き手側も、ライブに行き慣れてくると必ず気づくときがやってくる。下手なミュージシャンが簡単に使ってしまう手法だから、となりの会場へ行っても同じようなライブをそれこそ簡単に手に入れることができてしまうことを。そもそも歪みまくった大音量で歌詞もまともに聴き取れないようなライブのなにが楽しい?

ということを踏まえて、今日のカドワキ・ウオッチ。ネストでバンドセットでやると聞いたときに頭のなかに浮かんできたいくつものシーンが、そのまま目の前で展開されたような既視感あふれるライブ。想定どおり、大味で、工夫もなく、なにも残さず、その場だけの、見え透いた、安全運転な音づくり。新たな挑戦も、手の込んだ実験も、果敢に挑んだ冒険も、ステージの外側までは飛び出してこない。がんばっていたのはわかるんだけどね、ペンライトを振るのがライブと思い込んでいるひとたちには通用するのかもしないけれど、なんだかモヤモヤした気分のまま終わってしまった、というところまでも想定どおり。ライブには期待を越えるなにかが欲しいと思うのは贅沢なんだろうか。

//

ま、次に期待だ。