LUCID NOTE LUCID NOTE | Music show reports and Play stage reports

NEIGHBORHOOD #6

LUCID NOTE SHIBUYA

直前の対バン相手の、楽曲ではなくMCをネタにするのは悪手。カバーするのはいいが楽曲へのリスペクトを感じられないパフォーマンスはもっと悪手。あれを笑える神経は持ち合わせていない。むしろ嫌悪すら。

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したがって、今日は三組の対バンだったけれど、門脇さん一択で。円山町。

数字は大切だ。ヒット・チャートやランキングの数字は、消費者が楽曲を選択するときの強力な指標のひとつだし、業界に限らずビジネスでは常に付きまとう普遍のキーワードだ。ミュージシャンがどれだけ抗っても、音楽とビジネスが密接に複雑に強力に結びついている以上、数字からは逃げることも避けることもできない。ミュージシャンがいい作品を何曲つくったのかなんてだれも気にも留めないが、何曲売ったのかはいつだって話題の中心なのだ。

ご多分にもれず、門脇さんもこの一年、その創造性と金もうけのジレンマを実感したらしい。メジャーでデビューするために上京し、いくつかのタイアップと数曲の楽曲をリリースしたが、あからさまな数字で自分と自分の音楽が評価され、まさかの身内からの心ない言葉で打ちのめされ、果ては誰のために曲をつくり何のために歌うのかまで悩みは及んだらしい。今日の彼女は、まさに赤裸々に、それをファンやリスナーに打ち明けるというなんとも出口のない、泣き言だらけのステージ。挙句の果てに、その悩みと思いをもとに曲をつくったという。そして歌う。ギター一本。しびれた。さすが重い磁場をつくる天才だ。その思い、充分伝わった。

と思いきや、歌い終わってまさかのひとこと。なんとその楽曲を来月リリースするという。そのロジック、反則だろ。なんだその屈託のない笑顔は。いままでの重たい空気は何だったんだ。さすが関西。いつだってなんでも笑いと商売に変えやがる。

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カドワキ・ウオッチは今後も続ける予定。来年はひと山当てたいね。