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ウダガワガールズコレクション vol.453

LUCID NOTE SHIBUYA

今日もカドワキ観察。今月3度目のジージへ。

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SSWおじさんと呼ばれる生きものたちの生態。宇田川町。

ある出演者が「21時には会場を出るから物販は転換中に」とアナウンスした。彼女の姿を間近かで見るために一番乗りで最前付近の席を確保していたおじさんたちは、そのアナウンスに即座にかつ正直に反応した。彼らは自分たちの荷物を座席の足元にしっかりと置いたまま、ステージ転換中もその後の出演者のステージもそっちのけに、イベント終了を待たずして帰ってしまうシンデレラに時間いっぱいまでたかっていた。おかげで最前界隈の席はすっかりもぬけのカラになっていた。

ひとくくりにSSWおじさんといってもいろんな人がいる。演奏中に最善列でスマフォの画面を暗くしてこっそりずっと盗撮するひと、拍手もそこそこに出演者をギラついた目で凝視し続けるひと、常に12色セットのサインペンとスケッチブックを抱えて誰かれ構わずサインをねだるひと、出演者とのツーショットが撮れるまで帰ろうとしないひと、出演者のマネージャさんとも仲良くなろうと試みるひと、こういった行為が忠誠の証しだといわんばかりのひと、いろいろだ。彼らの習性の共通点は、ライブ中よりもライブ後にざわざわと忙しくなることだ。何しにここに来たのかまったく理解させてくれない行動を見せるひともなかにはいる。

ところが、今日のジージはひと味違っていた。次の次の主演者の転換中、さびしくなっていた最前列界隈を、見慣れない集団がどかどかと割り込むように占領し始めた。なにやらキナ臭く、さわるとキケンなガタイのいいオトコたち十数名。足元にはSSWおじさんたちの荷物があるにもかかわらず、空いていた席はすべて埋め、足りないと思えば自ら遠慮なく堂々と後方からイスを運び入れていた。ドリンクはカウンターではなく、座ったそのテーブルでオーダーし、出来上がったドリンクは集団の中の下っ端?にカウンターまで取りに行かせていた。もちろんグラスの中身はどれもすべてアルコール。集団のなかのひとりが誰かをセンムと呼び、カイチョーと呼ばれるひともいた。すさまじい破壊力。SSWおじさんたちは戻る席がなくなり、だれひとり近寄りもしなかった。

オトコたちのシンデレラの演奏が始まると、歓声、指笛、喝采の嵐がジージの最前列でさく裂した。フロア後方に手持ち無沙汰でたじろぐSSWおじさんたちのシラケた空気などまったく気にもせず、ひたすらステージを楽しんでいた。手拍子はもちろん高粘度の揉み手、たまにアタマ打ち。彼らは彼らのシンデレラのステージを盛り上げようと、必死に応援していた。この曲が好きなんだよ、と強面の誰かが言った。静かな曲は静かに聴き、盛り上がるべき曲では彼らなりの応援をしっかりと勤め上げていた。本物だった。聞けば、シンデレラを追って、彼女の地元からわざわざ上京してきたのだそうだ。たった25分間の彼らのシンデレラのステージを盛り上げるために。素行の良くない田舎のオッサンたちが空気も読まずに渋谷で大騒ぎ、というハロウィン的な見かたはまったく間違っている。少なくとも、ライブよりも物販を楽しみにしているSSWおじさんたちよりも、ライブハウスでの過ごし方としてはいたって健全だ。ただほんの少し、楽しみ方にセンスがないだけだ。

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というわけで、今日のカドワキ観察の結果。門脇さんの12月の初の東京ワンマンに・・(以下略)