LUCID NOTE LUCID NOTE | what Shibuya living in SHIBUYA have seen and felt

Leola 1st Oneman Live “Hello! My name is Leola.”

LUCID NOTE SHIBUYA

もう来なくていいよ。

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チケットの捌き方からメンバーの集め方まで。道玄坂2丁目。

午前十時の一般発売開始から数秒でソールドアウトというフレーズは、「売れている」というラベリングと同義だ。だから、いくつもの購入者特典や、複数回にわたるプレイガイドでの先行抽選など、使える手段は躊躇なく駆使して、一般発売開始前までにはソールドアウトしてみせる、というのがこの会社のプライドだ。

実よりもイメージを先行させることに長けたその会社で、彼女は、彼らが描いたプロジェクトの中で、彼らの期待通りに働いている。組織の中で、我を通さず従順で、もの分かりがよく前向きで、我慢強く聡明な彼女だからこそ成しえた今日のステージで、彼女はその成果を存分に発揮していた。

このような企画系シンガーを追いかけても、得るものは少ないと感じてしまうのは、企画者とその実行者を含めたプロジェクト全体が目指す先が、音楽ではないからだ。音楽を聴かせることよりも、音楽を消費させることに重点を置く、というプロジェクトだ。音楽を聴くことよりもシンガーを観ることに楽しみを感じさせる手法で集められた観客は、もはやリスナーではなくウォッチャーに近い。そもそも、音楽をつくる工程において、シンガーは我を通せないし、常に組織に従順でなければならない。シンガー自身がきめられる要素はゼロに近く、そもそも最終決定者はシンガーではなくプロジェクトだ。そんなふうに、念入りに周到につくられた偶像を、今日、観ることができたのは、幸運としか言いようがない。なぜなら、どんな立派な企画でも、成功することはごく稀だからだ。

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白根さんや高桑さんがサポートするステージは、クリックを前提にしたブレない演奏だった。たとえベテランでも、こういう現場では失敗が許されないことを、リスナーは知っている。正確なリズムとピッチ、タイムラインからチューニングまで、手堅い演奏とステージングは終始控えめなものだった。彼女はというと、ひとつの動作ですっきりと、的確で溌溂な動きでステージをこなしていた。今日までの我慢や苦労と引き換えに得られた観客の笑顔と歓声に、感極まったシーンもあったけれど、それによく堪えて最後まで歌いきった姿は、デビュー前の彼女の健気な面影をもろくも吹き飛ばした。もう大丈夫、あなたはもう来なくていい、と言われた気がした。

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全16曲中、知らない曲は8曲目に歌ってくれたその1曲だけ。