LUCID NOTE LUCID NOTE | Music show reports and Play stage reports

渋谷gee-ge.×神戸CASHBOX presents『ウダガワニノミヤガールズコレクション』

LUCID NOTE SHIBUYA

久しぶりにSSWオジサンになってみた。

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生き残ってほしいハコのひとつ。宇田川町。

いち早く配信の仕組みを構築し、クラファンにも手を出さず、現状にひたすら耐える姿勢でジージは今日も営業を続けている。男気に長けた店長、高いブッキングスキルを持つ鉄平さん、信頼のPA技術の五十嵐さんなど、魅力的なスタッフたちが運営するアコースティック系のライブハウス。鉄平さんのおかげで若手女性シンガーソングライターのブッキングばかりだが、それがこのハコの個性であり店舗イメージ。SSWオジサンたちには便利で欠かせないハコの代表格だ。今日は神戸のキャッシュボックスとの合同イベント。配信映像を互いの店舗で見せつけ合うという企画で、全十組の歌合戦。持ち時間はひと組につき三十分、合計五時間の長丁場。てっちゃん企画は相変わらず長い、けどおもしろい。

この企画、配信映像と生音を交互に鑑賞するのだが、映像の受信中はステージは転換中。いつもなら十分程度の転換時間が今日はその三倍。転換の様子を観るか映像を楽しむかは自由なのだが、案の定、映像に耳目を集中させるのは相当にキツイことを知る。キャッシュボックスが音よりも画を重視したブッキングだったのか、見栄えはいいが聴き応えがイマイチ。ということで今日のひとくちコメントはジージ限定で。

ひと組目はyumekoさん。初聴。キラッキラの十代。ギター弾き語り。活動は一年前から。といってもこの状況下の一年前だから、持ち曲数も両手程度。音源も未制作。十八歳のいまだからつくれる曲をと意識してつくった曲は十八歳だから唄える歌。毎年これが更新されていくんだろうなと思うと前途洋々。オジサンには眩し過ぎる。

ふた組目はトクヒサレナさん。初聴。おそらく二十代なかば。ギター弾き語り。メロディにうまく歌詞が乗っていないのか、あるいはヴォーカルになんらかの難があるのか、あるいはそっちの声とこっちの耳の相性の悪さなのか、リリックの聴き取りに苦労する。え?いまなんつった?ってやつ。これが歌の途中で起きると後が続かない。こういうシンガーとの出会いは以外と多い。

さん組目はななせさん。初聴。おそらく二十代前半。ギター弾き語り。将来は実力派と呼ばれるんじゃないかと思わせる独自の世界観を独自に表現できるギタリスト、シンガー。逆に言うと色が付き過ぎてキャラが明確になるればなるほど、リスナーが限定される懸念も。「知る人ぞ知る」になるか、うっすらだけど「だれもが知っている」になるか。イベント企画者の立場なら、しばらくはブッキングにはかかせないシンガーかと。

よん組目は小林未奈さん。初聴。おそらく二十代後半。本番直前に戸外で喉の仕上げをしているところに遭遇。すんごいうまい。上下、左右、ななめと縦横無尽なうた声。本番ではほんの少しこぶしをきかせてほのかにブルージー。こういうシンガーはなにを歌わせてもそれっぽくうまく唄えるんだろうな、などと思ってたらカバーアルバムの音源もあるらしい。びっくり。人柄もよし。これならだまっていても熱心なファンがつくだろうな。

トリはまきちゃんぐさん。本日唯一の既聴シンガー。ウン十代。ピアノ弾き語り。これぞ鉄平さんの技アリブッキング。前の四組とはまったくの別格。出演者をイベントぜんたいを構成する部品のひとつとして見た場合、鉄平さんが彼女にどれだけ絶大な信頼を寄せているかが手に取るようにわかるパフォーマンス。スタッフとミュージシャンとの信頼関係って大切なんだな。SSWオジサンも大満足のステージング。

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配信と生音を同時に行うライブをハイブリッド・ライブって言ってたひとがいたけれど、それは配信は配信でウオッチャーを、生音は生音でリスナーを集めなければハコは採算がとれない、という認識を持つことが必要。とういことで、時間あるときはなるべくジージに通おうかと。