LUCID NOTE LUCID NOTE | Music show reports and Play stage reports

Scramble vol.2

LUCID NOTE SHIBUYA

明日はあの日。

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竹内さんが渋谷で歌うというので行ってみた。代官山町。

年明けから順を追って竹内さんのスケジュールをざっと確認してみると、ぞっとした。学生としての春休みのぜんぶがメディアプロモーションとイベントへの出演で埋め尽くされていて、北から南まで効率的とはけっして言えない順番で全国を移動する、という日々を続けていることがわかる。この種の忙しさを想像すると、仕事へのモチベーションを維持するだけでも大変で、もっとも重要な歌うことさえも淡々と片づけていくだけの作業になってないか、などと心配してしまう。そんな少しばかりの先入観と余計なお世話とともに今日のステージを観てみたのだが、おそらくこの先入観は半分くらいが当たりで、半分くらいが杞憂だった。

WGTはライブハウスではなくただの食堂だ。天井は高くコンクリの打ちっぱなしで、音の残響がやたらとすさまじいのが特徴の店だ。一度体験していれば、あるいはリハーサルで音を出していればわかるはずなのだが、そんななかで彼女はいつも通りに、置かれた状況に抗うことなく、サンプラーで音をいくつも重ねながら吐き出していた。ここでそれをやられても、音は食堂のなかでつながりながらぐるぐると当てもなくさまよい、バラバラのタイミングで耳に届いてくる。キレのある音を聴きたくても聴けないのだ。この効果をわかっていてそれをやったのなら、他に手の打ちようがなかったか、あるいはそんなことはどうでもよかったかのどちらかだ。彼女の前に歌った彼は、音の響きに敏感に反応していたし、彼女の後に演奏した彼らは、むしろ残響効果を楽しむように自分たちの音の強弱を自由に変えながら演奏していた。そう、自由に、自由に、自由に。忙しさにかまけてとは思いたくないけれど、結果的にそうだとしたらそれはそれで心配だ。

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しかしあれだな、関西のリスナーはたとえ冷めたノリでも優しくつっこんでくれるけど、関東はサーっと引くよね。ノリが悪いというか、手厳しいというか。