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Debut EP Release Live『at ONE』

LUCID NOTE SHIBUYA

心斎橋は橋なし橋。

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竹内アンナさんのメジャー・デビュー・シングル・リリース・ワンマン・ライブへ。東心斎橋2丁目。

それはアコギの鋭いカッティングのリズムから始まった。聴くものの耳を一瞬にしてステージに集中させるそのギターの音は、彼女のいまを最大限に表出していた。真骨頂のギターサウンド。客席のほとんどが、この音をテレビやラジオで耳にし、その音に興味を持ち、生で聴きたいがためにプレイガイドでチケットを入手し、その音を頼りに雨のなか足を運び、その音を聴くためにJANUSに来たのだ。そして彼女は期待どおりにライブの初っ端でそれを実現させてみせた。この先もっと凄いことが起きることを予感させるファーストステップ。つかみは最高だ。そして案の定、その後のライブの展開はこれがメジャーのチカラとばかりに、すこしずつ華麗にヒートアップしていく。彼女がアコギで数曲披露したあと、佐藤さんがパーカッションで加わり、ノイズのないカラフルなリズムで彼女を盛り立て、キーボードで客席を沸かせる。次に円山さんがエレキギターで登場し、流麗なリフと程よいストロークでバンドサウンドに厚みを加えていく。今日のトリオ「シュガー・エンゼルス」の出来上り。あとはみんなでオーラスまで一気に盛り上がっていくだけだ・・・というライブを期待していたのだが、現実はそう甘くはなかったようだ。

今日の彼女はギターを封印した、と言っていい。もちろんそのコーナーもあったのだが、中休みのようなタイミングにそれを据え置いていた。まるで見えない誰かに気を遣ったかのように、申し訳けなさそうに、ひっそりと。前半をバンドで、中盤はアコースティックに、終盤は再びバンドで、という単純なライブ構成は便利に使えるテンプレートだが、そこら中に散らばるギタ女とは違う匂いを彼女から嗅ぎとり、違う何かを期待してここにやって来た人たちに、これがどう映ったのか。杞憂ならよいのだが。

LUCID NOTE SHIBUYA

こういうライブでサイリウムを使うのは誰がどう見ても場違いだし、しかもその曲にはまったく不釣り合いだし、不適切だ。ずっと長く応援し続けてきたし、メジャーデビューをお祝いしたいし、という気持ちは充分すぎるほど理解できたが、その手法はたいていの場合、ライブを台無しにする、ということを少しは学んだほうがいい。メジャーでデビューしたってことは、もう君たちだけの彼女ではないのだ。