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寺田恵子&国府弘子コラボレーションコンサート 大人歌~おとなうた~

LUCID NOTE SHIBUYA

役者やのう。

予定調和に晴れた土曜日の午後、お隣の道玄坂へ。

てっきりバックバンドがつくと思い込んでいたのだが、ステージ上の楽器はグランド・ピアノが下手にひとつあるだけ。そしてなぜか上手にはテーブルと赤い布カバーのロング・ソファが。で結局、国府さんのピアノ伴奏で寺田さんがハンドマイクで唄うという、なんともレアなデュオ・ライヴ。

寺田さんと言えば年代的には我らBE-BOP世代よりもちょい上の、気合いの入り方の違う先輩格。普段はぜんぜん目を見てしゃべれないくらいにエライ人のはずなのに、今日の彼女はシャバいシャバい、シャバすぎる!

会場が元映画館だから微細な音も聴こえてしまうし、伴奏もピアノだけなもんだから、普段は掻き消されるはずのヴォーカルも全く誤魔化しのきかない状況なわけで、オープニングの三曲はこっちも緊張するくらいに寺田さんはガッチガチ。緻密に練られた台本の通りに進行しさえすれば、あんなぶっちゃけなトークもなかったはず・・・なのに、緊張のあまり脱線ばかり。それでも、あれだけドタバタを繰り返しても、何度もすっと立て直してくる技はおみごと。ヴォーカル・パワーも、鍛えられたしなやかなカラダも、さすが姐さん。やっぱり頭上がりません。

終始、サポートに徹してらした国分さんのピアノも素晴らしかった。一発でキーを探り当てて弾き始めた”リンゴ追分”。お客さんと寺田さんに乗せられて思わず弾き語った「恋におちて」。どれも予定にないものばかりだったはずなのに、これが完ぺき! 音楽で客を楽しませるテクニックは寺田さんよりも数段も上だったなぁ・・・

今日は思わず拾いモノ的なレアなライヴ。こういう企画モノは平日には行くにはちょっと重いけれど、同じく拾いモノ的な梅雨晴れな天候の土曜日に行くには丁度いいなぁ。明日の日曜日も記念日的なライヴ。今からなんとなくドキドキです。