摩天楼を夢みて。
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きょうは超名作「グレンギャリー・グレンロス」の初日へ。後楽1丁目。
どの芝居を観るか、いつもはキャストの顔ぶれで選ぶことが多いのだが、今回だけは久しぶりに演目だけで即決。パチーノの映画を掘りまくっていたときに出会った作品で、そのころはまさにBtoCの営業職。何度も観返して何度も共感して何度もその気にさせてもらった作品。社畜という安直なことばがまだ世になかった時代の、営業会社のカラクリ、同僚との競争や確執、営業トークのテクニックなどなど、エンタメだけれどファンタジーな要素はいっさいなく、もちろんコメディでもなく、ドキュメンタリーのような偏りもない、リアリズムをとことん感じさせてくれた作品。ストーリーは一から十まで、すべてのセリフも覚えるくらいに観まくった。という下敷きのもとで観ると、きょうの舞台はぎりぎりの及第点。下手をすると落第点。
ま、こればかりはしょうがない。だってどれだけがんばってもジャック・レモンと比較されたらあの堤さんだってお手上げだろうし、これは!と思わせた鈴木さんのウィリアムソンだってケヴィンの丸写しだし、そもそも濵田さんにいたってはパチーノに勝てるわけがないし。しかもかれはすこし若すぎた。幼くみえる若い営業マンがじぶんよりも年上の顧客に生き様を諭したところで(この作品の見どころのひとつ)説得力など生まれるわけがない。という視点で見るとかれは徹底的にミスキャストだったし。
辛口かな。とりあえずここで戯曲には登場しない本社幹部(ボールドウィン)が営業マンたちに喝を入れまくって嫌われるシーンでの名ゼリフを。
さいごにもうひとつ。まったくの初見のひとにはいささか難解だったかも。米国のビジネス文化とか、営業職特有の機微とか悲哀とか、女性のまったくいない男社会の職場とか、聴きたくもないFワードの連発とかなどなどを、知らないからといってスルーしたまま観てしまうとこの作品のおもしろさも奥深さも半減の半減の半減のループ。ま、ただただ推しの活躍が観たい、というひとたちには関係ない話しだろうけれど。