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山崎あおい Happy LIVE Day with YOU 10th Anniversary SPACIAL LIVE

LUCID NOTE SHIBUYA

悩ましい。

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Owestビルのローソンへランチの買い出しに行ったときに、今日のduoは山崎さんだと知り、急遽行ってみることにした。duoの着席キャパ数のすべてに対して、ひとりずつ消毒、検温、番号確認の手順を踏むと、およそ四十五分を要するらしい。おかげで開演は定刻の二十分押し。末席のさらに後ろ、のんびりと立ち見で。道玄坂2丁目。

山崎さんのうたごえは三年ぶり三度目。ワンマンは初めて。今日は一般向けのライブではなく、ファンミのような位置づけのイベントだったようだ。したがって集まっていたのはコアなファンばかり。アイドルへの楽曲提供をルーツにしたファンとSSWおじさん系の古参のファンで客席は満席。セットリストはあらかじめリクエストを募って、その上位十曲を披露するコーナーを主軸にして組まれていた。十曲はメドレーではなく一曲ずつフルで。ファンが選んだベスト十曲だ。これなら山崎さんを知りたい初心者や一見さんにもありがたい。

がしかし、もう一度聴きたくなるような曲は、一曲も、まったく、見つけられなかった。理由は明白。まともに聴いていられなかったからだ。治せないほどに壊れてしまったノドで、かつての歌をかつてと同じように歌われても、痛々しさばかりが気になって、歌詞、メロディ、アレンジなど、楽曲を知り、ライブを楽しむためのすべての要素がまったく頭に入ってこない。聴こえないうた声を絶え間なく探し求めるだけの過酷な二時間。これはつらい。

一時的な体調不良でもなく、だれもが避けて通れない加齢による経年変化でもない。キーを下げれば歌えるというレベルの壊れかたじゃないのは本人も理解しているはずで、『喉をこわしたとき「また頑張ろう」と思わせてくれたのはファンの皆さん』なんてよく言えるよな。やめようと思ったけれどファンが求めるならしかたない、もしも再発したらファンのせい、と言っているのと同じ。

選択肢はふたつ。きっぱりと歌うことをやめるか、これまでの楽曲のいっさいを封印して、ノドの許せる範囲内で楽曲をつくって歌い続けるか。今日のようなライブを続けていると、ノドに残っている爆弾がいつまた暴発するかもわからない。大丈夫、今日のフロアの様子を見る限り、たとえ後者を選択しても、彼らは無条件に、喜んで、聴き続けてくれる。こんなにたくさんの良質なファンを裏切っちゃダメ。

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でもまあ、いろいろと悩んでるんだろうし、勇気もいるよな。「引退しません・・・」の文字は洒落に見えない。

LUCID NOTE SHIBUYA