クラシックをてんこ盛り。
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二年ぶりに牧山さんのライブへ。セルリアン。
クラシックの楽曲のなかでも小品と呼ばれる楽曲の、もっとも耳馴染みのあるフレーズの一部を数多くピックアップして、メドレーにしたり、ソロ回しの即興を挟み込んだりして、リスナーが飽きずにかつ音に集中して過ごせるように工夫、アレンジされた高難易度なライブ。
前半はラウンジのBGMのような、やさしく耳ざわりのよい音づくり。クラシックをジャズ風にアレンジしたと言われると、原曲のフォルムがまったくわからなくなるくらいにリズムもコードもメロディもバラバラでグチャグチャで、と思ってしまいがちだが、牧山さんのアレンジはその点では聴く人にはやさしく、演る人にきびしい。
とはいえ、牧山さんがこの美しく優しい調子を悠長に最後まで続けるわけがなく、後半からは空気をガラリと変えてきた。こういう場の変化を配信映像で感じとれる人はライブが好きな人だろうな。とっかかりはビゼーのカルメン。原田さんの音が一気に若がえり、中林さんの音もそれに応えて溜め込んでいたものを熱く発散。今日の高い湿度に思いのほか手こずっていた牧山さんの音もここからぐいっとヒートアップ。佳境にはスロベニア組曲の全楽章をクラシカルなアレンジで。こりゃたまらん。終わったあとは興奮の余韻。こんなとき誰かとしゃべると、意味不明な言葉をまくしたてるように発してしまう自分。ライブっていいな。
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JZと牧山さんのプレシャス・スペースも今回で二十九回目。ということは次回は三十回記念公演。