LUCID NOTE LUCID NOTE | Music show reports and Play stage reports

牧山純子 Precious Space vol.27 牧山純子 with 227

LUCID NOTE SHIBUYA

九分の一。

//

通算27回目。牧山さんとJZとのロングラン企画。調べてみるとvol.5とvol.14を楽しんでいた。今日のvol.27で3度目のプレシャス・スペース。セルリアン。

ユキさんの走り気味のカウントから始まった1曲目はなんと「ミストラル」。これをスタートダッシュに持ってきた意図は、ライブが進むにつれて徐々に明らかになる。牧山さんと227。似たもの同士によるジャブの応酬。片方が攻めると片方が倍にして打ち返す。リズムにしろ音圧にしろ、3人のバランス感覚だけが成功のカギ。だれかが一瞬でも息を外すと、攻撃オンリーの3人だから体制の立て直しには時間がかかる。受け身に回るのは常に客。スリリングでリスキー。1曲目をミストラルにしたのは、お互いの試し打ちのためだった。

227の演奏は初めて聴いたのだが、広田さんは大味、山下さんは多音。普段やっている音楽がそもそも違うせいなのか、彼らの得意技と牧山さんの得意技の間には共通する部分が少なく、だからといって攻めの姿勢はお互いに崩さないわけだから、ある種の異種格闘技戦のようなライブ。ファーストセットは両者イーブン。

こんなライブは順調がすぎるととたんにつまらなくなるものなのだが、セカンドセットでは相手の持ち味を持ち上げるという逆攻撃をお互いに展開してきた。牧山さんお得意のモルダウの激流も、徐々に濁流となり、氾濫し、最後は決壊する。「風」は今日もっとも長い拍手となったが、あれは牧山さんだけにではなく、227にも向けられた拍手。

今日で共演は3度目だったそうだが、つまり今日の音はせいぜい3度目の音。まだまだお互いに攻めには余裕がありそうだったし、4度目があればもっとすごいことになりそうな音。

//

この企画、もしも牧山さん以外にコンプリートしている人がいたらスゴイ。そのままずっと参加し続けて欲しい。