LUCID NOTE LUCID NOTE | Music show reports and Play stage reports

サザンオールスターズ LIVE TOUR 2019「“キミは見てくれが悪いんだから、アホ丸出しでマイクを握ってろ!!” だと!? ふざけるな!!」(福岡公演・二日目)

LUCID NOTE SHIBUYA

着替えはツアーグッズで。

//

今ツアー初めての二夜連続。地行浜2丁目。

つまり、今回の福岡のチケットはゲットしやすかったということだ。昨日の公演を体験したリピーターが多いと気づいたのは、誰もが知っている曲がならぶオープニングのコーナー。確信したのは中盤の聴かせどころ。聴かせどころとは、ファンによっては好き嫌いがはっきりと分かれる個性的な曲たちがならぶコーナーだ。昨日であればずっとスタンディングだったそのコーナーも、今日はシッティングで休憩にいそしむリスナーが目立っていた。彼らは知っているのだ。そのコーナーを楽しむための自分なりの過ごしかたと、後半に息切れしないためのペース配分を。そういう意味では福岡のリスナーはわかりやすく、そして少し歳を取り過ぎていた。

老獪なリピーターたちに対応できる万全な対策案を導き出すことは、たとえ四十年のキャリアを持つサザンであっても難しいらしい。彼らのようなオールドマンやオールドウーマンたちは、自分にはない新しい楽しみかたを探し出すことをしない。一度誰かに提案されて身に着けてしまった楽しみかたこそが、彼らにとっての問題集の巻末にある模範解答であり、唯一のバイブルなのだ。昨日と今日は同じライブという間違った先入観、事前の期待との違いに対する拒絶感、古きものへの安心感と新しいものへの硬直性。なんてもったいない。いろんな楽しみ方を次々と提案してくれるふり幅の広さがサザンの良さのひとつなのに。今回のツアーはとりわけ、常連ど真ん中の名曲たちを封印し、古きものを新しく見せてくれているからなおさらだ。

で、ライブの感想なのだが、ここまで初日と二日目を違ったものに見せ聴かせる工夫が随所に施されていたことにはおどろきだ。四十年のキャリアは伊達じゃない。同じなのはセットリストだけ。昨日の反省を活かしたというよりも、昨日の良さをビルドアップしたライブ。バンドの演奏だけでなく、照明、映像、とりわけ音響の果敢な攻めには完敗した。桑田さんの声は昨日よりはくたびれてはいたが、しっかりと力づよく、まったりと心地よく、でたらめにはじけていた。最初から最後までなにもかもが楽しすぎて、もう渋谷には帰りたくない。

//

とはいえ着替えもないので明日には帰京します。