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billboard classics Salyu with 小林武史 premium symphonic concert 2019 -Valentine’s Special-

LUCID NOTE SHIBUYA

失敗と反省を繰り返してこその人生。

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約二年半ぶりのサリュさんと小林さんのフルオケライブへ。道玄坂2丁目。

前半はハラハラしっぱなしの実験的なステージ。サリュさんはおそらくイヤモニなし。小林さんは定番のあのヘッドホン。コンダクターの栗田さんがなぜかイヤモニ。オケのみなさんはもちろん素耳。4曲目だったか、打ち込まれたリズム音が流れ始めたときに気づいた。栗田さんがクリックを聴きながら指揮を執り、オケはそれを見ながら演奏し、サリュさんは足元のコロガシから聞こえる音に合わせて歌う。小林さんはおそらくクリックではなくオケの音をヘッドホンで。お互いに違うルートで違う音を聞きながら、同じ曲をいっしょに演奏するという、ちょっとしたコントのようなステージ。見るにはおもしろいのだが、聴くにはその成果はかぎりなく失敗に近かった。サリュさんは自分の声をほとんど聴き取れない状況だったのか、おそるおそる慎重に声を出していて、おかげでノドはしっかり委縮して、予期しないタイミングで何度も声が裏返っていた。思いきり声を出せないのは、こういう編成ではつらかっただろうなあ。今回のオケのアレンジは4人のプロが担当されたそうなのだが、原曲を知らないとなんだかわからないまま終わってしまった曲もあれば、原曲をゆうに超える楽曲もあったりして、それもこれも含めてかなり実験的な前半が終了。

そして20分間の休憩が明けて後半。しっかりイヤモニをつけてきたサリュさん・・・別人。指揮に合わせて歌っていた前半と違い、後半のいくつかの楽曲はサリュさんがリードしていた。「to U」もそうだったけれど、圧巻だったのは「風に乗る船」。小林さんのメロディはシンガー泣かせの難解なものが多いけれど、この歌はその最たるもの。こんなに難しいうたをリズム隊にいないフルオケのバックで歌えるのはサリュさんしかいない。

LUCID NOTE SHIBUYA

これは次もありそう。でなければ今日の実験がすべてなかったことになる。それまでサリュさんのノドが持つかどうか。