LUCID NOTE LUCID NOTE | what Shibuya living in SHIBUYA have seen and felt

矢野まき「おはなしおうた」

LUCID NOTE SHIBUYA

おそらくこれがラウンド・ワン。

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ほぼ1年ぶりの矢野さんのワンマンへ。矢野さんの音楽をより身近に感じられるようにと企画されたライブは、誤ってドリンクのカップを倒してしまうと、階下にそのまま滴り落ちてしまう木造2階建てのカフェの2階で開催。寿4丁目。

ライブのタイトルは「おはなしおうた」。いまふうに言い換えるとトーク&ライブなのだが、矢野さんにとっては初めての試みで、ということはリスナーにとっても初めてで、この会場を使うのも初めてで、ものの見事にぜんぶ初めて。となると当然、それなりの緊張感が漂うはずなのだが、席の配置は見慣れたシアター形式だし、50~60名程度の客入りも小さめのライブハウスと同等だし、なによりイベントの脇を固めるスタッフさんの数が多くて、これまで以上に矢野さんを身近に感じられる新しい要素は、いまひとつ感じられなかった。開演前までは。

ところが始まってみるとこれがおもしろい。トークは、事前に受け付けた客からの質問に矢野さんが応えるという形式で進められたのだが、途中でどれだけ話題が脱線しても最後はしっかりオチをつけ、ライブにいたっては、まるで人間サンドバックにされたかのように、矢野さんの声の猛打がズシンズシンと腹に響いてくる。ステージから近いだけに、これまで経験したことのない相当キツめのダメージを受け続けた。カフェと聞けば軽いイメージの会場だが、奇しくもここは東京下町、まるで橋の下にトタンと廃材で建てつけた拳闘クラブよろしく、階下から漂ってくるカレーとワッフルの香りが、ワセリンと汗のにおいに感じる、そんなライブ。ファンからのジャブも見事なスウェイバックでかわす矢野さん。高等テクニックの連続を間近かで見られるライブなんて、やっぱり初めてだった。

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もしもこの数日の気温の低下がなかったら、フィジカルにはとてもタイトなライブになったはず。矢野さんもファンもスタッフもそうとうストイック。早くもラウンド・ツーのゴングが鳴るのをみんなが待っている。