夏真っ盛りはあしたから。
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今日はナナカイ。3組の対バン。すべて初聴。円山町。
好みの音楽を探しにライブハウスに通うという娯楽から、しばらく足が遠ざかっていた。すでにつねにおなかはいっぱいであり、時間もお金も恒常的に不足していることが主な理由なのだが、今日のような特別でもなんでもない休日に限って、ふらっと足が向かう先がナナカイだ。
住岡さんは、以前からSMAのサイトでは頻繁に目にしていたのだが、聴くのは初めて。目鼻立ちのすっきりした美人のオトナ顔だが、うた声はガーリーポップ。こういう声は一聴目ではうんざりするが、無理やり我慢して聴いていくうちに、気付いた時には癖になっている、という不思議なヴォーカル。ライブ一本ぶんを構成できる楽曲群はすでに持っていて、たった数曲でもいろんな顔を変幻自在に見せてくれる。侮れん。
井上さんは現役の大学生だそうだ。ライブのステージに立つこと自体にまだ慣れていないようで、声も姿勢もMCもすべて硬かった。ギターのヒップからストラップが外れるアクシデントがあったとき、少しは緊張が和らぐかと期待したのだが、硬さは固辞したままだった。この貴重な真面目さがうたにも現れていて、ぎこちなさのなかに不連続に表出する大らかで気持ちのよい若いヴォーカルが、なにかによって隠れされた不自由さと戦っていた。場慣れさえすれば解決することかもしれないが、そのときが怖いヴォーカル。侮れん。
竹内さんも現役の大学生。フロム京都。来月8日にメジャーデビューの予定だそうで、それに伴い何かを目論む多くのオトナたちがフロア後方にゾロゾロ。いいね、この雰囲気。当の本人は、いま持っているテクニックのありったけを駆使したギターの弾き語りを緊張のなか4曲。サンプラーで音を重ねてループさせる流行りの技も自然にこなし、とにかくギターがすこぶる上手い。それが災いしてか、ギターの音が邪魔してヴォーカルまで耳が回らない。こんなふうにヴォーカルに力不足を感じてしまうのは、こちらの聴き方が下手なだけだから、次に聴くときまでにはなるべく解決しておきたい。
全20曲程度の小ぶりなショーケースのような短い対バンイベント。合間をあけて少しずつ、丁寧に聴くにはこれくらいがちょうどいい。住岡さんが披露したまだタイトルのない新曲が今日のツボ。そのねがいを叶えるには神様も気まぐれじゃだめ。本気ださないと。
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つまり彼女には次があるってことだ。