世界平和は歌えない。
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久しぶりにフィーバーへ。今日はふた組プラスワンの対バン。羽根木1丁目。
オープニングアクトは咲穂さん。初聴。ヤマハのエレピで弾き語り。ほんの二時間前まで新国中に居たせいか、まるで劇伴のように聴こえたオルタナティブな楽曲群。シーンを動かし、役者を輝かせ、数分後の将来を予感させる。聞き流すには重く、長く集中すると明日まで疲労が続く。メインストリームの脇道を並走する音楽家は多いけれど、彼女もまさにそんな感じ。
対バンのひと組目は高井息吹さん。初聴。ヤマハのエレピで弾き語り。咲穂さんの楽曲からほどよく毒を抜いた軽めのオルタナティブ・ポップ。三曲を連続させた導入部は前任の名残をステージから払拭させて、聴くものの足を沼に引きずり込む。中堅どころのプライドか、彼女なりのあいさつか、強烈なライブ感でしばし仰け反る。
ふた組目はヒグチアイさん。カワイのエレピで弾き語り。この一年半で、他と差をつけたひと、差をつけられたひと、なにかを得たひと、失ったひと、成長したひと、年だけを重ねたひと、今後はそれらを容赦なく見せつけられることになる。自分の好きなミュージシャンがどう過ごしてきたか、ファンなら大いに気になるところ。今日のヒグチさんは相変わらず良質なライブで楽しませてくれたけれど、相変わらずはいまはホメ言葉じゃない。この一年半なにしてた? 答えは十一月の大手町で。
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「母親とは」をテーマにして話すとき、いまだに自分の母親を話題にしてしまう三十一歳。体験しないと歌えないなら、明日のことも歌えない。