LUCID NOTE LUCID NOTE | Music show reports and Play stage reports

2 PIANO 4 HANDS 2022秋 タテタカコ×ヒグチアイ

LUCID NOTE SHIBUYA

三年まえの物販では「もうぜったいやらない」とあれだけグチグチ言ってたのに。

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コーキさん発案の大好評企画ライブ。四日目の昼ステージへ。ヒグチさんとタテさんのツーマン。南青山4丁目。

だれにもわからないような嘘を混ぜたり、大げさに思われない程度に話を盛ったり、でもそれがウケねらいだとはけっして悟られたくないときに、彼女はヒザと脚をリズミカルに短くゆすってしまうクセがあって、それを確認できる位置を選んで今日は着席。レーベルが変わって、テレビ番組とのタイアップが続いて、メディアが取り上げる頻度も増して、リスナーの顔ぶれも多様になって、ワンマンで使う会場の規模も大きくなってと、今年の彼女はセールスの面では順調そうだ。プチ・ブレークした例の楽曲を聴いたときは、小さな生活と近しい家族をずっと大切にしていた子がクスリで捕まったニュースを見たとか、近づかないと聞こえない声でボソボソしゃべる子が街宣車で戦争反対を叫んでいる姿を見たとか、そういう挽回不可能な唐突感に少々戸惑ったけれど、楽曲の幅がひろがればライブの楽しみかたも増えるし、彼女を知らないひとの知る機会が増えるなら、それはそれでいいことだと思うようにしている。いっぽうで、売れる曲がいい曲だとは限らないことを彼女自身がこれまで逆説的に証明しているからこそ、これを代表曲にはしてほしくないなあ、という今後への期待感も同時にあって。デビュー当時、五千人のライブをと話していたヒグチさん。あともうひと息。めざせ紅白。

タテさんのライブは初めて。ヒグチさんもドラマチックなライブをやってくれるけれど、タテさんはその数倍を行く。取るに足らない人の負の側面をむりに突っついてあぶり出すような、それでも敵をつくらない周到さと用心深さを秘めるヒグチさんの庶民的なドラマチックさとは違う、もっと大がかりで大胆で、ある意味一方的にひとを抑え込むような強さを秘めた、映画的というか劇場型のライブ。小手先のワザ、姑息なセリフ、言いわけのオンパレードなどとは無縁な、壮大で、正直で、臨界点の見えないライブ。すごいのを見てしまった。

LUCID NOTE SHIBUYA

でもこれ、ふつうにツーマンだったのだが。せっかく二台用意されていたのに陽の目を見たのは最後の一曲のみ。だからちゃんとやれって言われちゃうんだよ。