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ヒグチアイ 独演会 [ 一対一 ] – 東京公演

LUCID NOTE SHIBUYA

街が変わるとき、どう変えるかを決めるは住民と行政、いつ変えるかを決めるのが政治家。

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本日、選んだのはこちら。桜丘町。

五輪開催を背景にして「渋谷も変わっていくね」と歌うひとがいるけれど、五輪があろうがなかろうが、いまもむかしも渋谷はずっと変わり続けている。伝承ホールというネーミングに誤解したひともいたようだが、ここは規模のわりには安価に借りられるし、公立だから条件さえクリアすればだれでも平等にどんな興行でも偏りも忖度もなく受け入れる。したがってクラシカルホールのような音出しに特化した専門性はなく、さらに建って十年余りで伝承というほどの歴史性もない。ちなみに以前のここは児童の学び舎、大和田小学校。すでにおもかげなし。そんな会場をあえて選んだヒグチさん。それ相当の深い意図があるんだろうとしばらくうた声とピアノの音をおとなしく素直に聴いていたのだが、これがさっぱり、手がかりさえもつかめなかった。もしかしてスケジュールと予算だけで選んだのか。

ライブは真骨頂の弾き語り。ありったけの想いを詰め込んで一曲ずつ丁寧に歌い倒すさまは、どんな会場も選ばない意固地な強さとやさしさがあって、それもこれも以前と変わらず期待どおり。こっちは久しぶりに左右の隣席にひとがいるという緊張かつ窮屈な状況で縮こまって聴いているのに、ステージ上はやけにのびのびと楽しそうだ。彼女が独自に編み出した方程式は常に正しい解を選択させてくれる。いいね、ヒグチさんの弾き語り。ラジオ体操あたりから隣人のオジサンがマスク越しに小さく低く野太く吐息たっぷりに始めた下手なユニゾンの歌声に耐えられず、オーラスを待たず途中退場したけれど、いいものはやっぱりいい。

LUCID NOTE SHIBUYA

お口直しならぬお耳直しに、そのあとそのまま隣のセルリアンに立ち寄って林さんのピアノをちょっとだけ聴く。いいものはやっぱりいい。