早過ぎた。
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ロスから帰省中の澤田さんの来日公演へ。代官山町。
春先からずっといいライブばかり行っていたおかげで、耳がしっかり肥えてしまっている。肥満な状態の耳のまま今日のようなライブに行くと、どうしても辛口なコメントばかりが頭に浮かんでしまい、目の前のありのままを楽しむことに苦労する。こういうときはダイエットが必要なのだが、彼女も言ったとおり、思いのほか早く今日が来た。
九か月前、渡米前の最後のライブのあとの、彼女とのふざけた会話をにやにやと思い出しながら聴く。WGTの特徴的な音響は、まるでとなりの部屋で聴いているかのように、音が耳に届くまでに心理的な時間をリスナーに強いる。他のライブハウスとはまったく異なる音がそこにあって、その距離感に慣れるまでのハードルは高く、数も多い。バンドでうたう澤田さんは記憶になくおそらく初聴のはずなのだが、それでも新鮮味を感じなかったのは、少ないリハでも本番をそつなくこなせる腕を持つバンドメンバーだったからなのか、思い切った冒険も新しい挑戦もないアレンジだったからなのか、WGTの音響が要所要所の重要な音を届けることをサボったからなのか、あるいは聴く耳が太り過ぎているからなのか。いずれにしても、その既視感と既聴感のおかげで、渡米による感性の変化や９か月間なりの音の成長といったものを感じたいという事前の期待感やワクワク感は、ライブ序盤早々に霧散してしまった。結果的に、まだ何も変わってない、九か月じゃ早すぎる、という印象なのだが、それでもセットされた楽曲はおよそ三分の一を新曲が占めていた。ロスは彼女にしっかりと仕事をさせていて、彼女はそれを順調にこなしていることに間違いはなさそうだ。
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週末はドーナッツ。