彼はライブには向いてないと思うんだ。
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KacoさんとYUUMIちゃんの魔法にかけられて。千駄ヶ谷4丁目。
好きな楽曲だけを選んでプレイリストをつくるように、自分のお気に入りのミュージシャンだけでブッキングした対バンやフェスを企画したくなるという、むこうみずな人がライブ好きの素人のなかにはいるらしいのだが、今日のこの企画のブッキング担当者とはなにやら気が合いそうだ。Kacoさんはずいぶん久しぶりなのだが、ライブに行ける機会をずっとうかがっていたミュージシャンのひとり。YUUMIさんはどうやらすでに腐れ縁のような存在になりつつあって、会場が渋谷界隈なら皆勤したいミュージシャン。このふたりの組み合わせ、最強。
KacoさんもYUUMIさんも、自分の音楽の特徴やキャラクターを明確に表現できるミュージシャン。わかりやすいだけに、したがってそれを好むひと、嫌うひと、どうでもよいと思うひと、リスナーの嗜好も明確に切り分けてしまう。不特定多数のお客さんを集めるにはそれなりの体制と資金を必要とするタイプだけれど、限定された範囲のなかであれば、とてつもなく強力な音楽性でリスナーを魅了できるミュージシャンだ。
この手のタイプのミュージシャンはメジャーではありふれているけど、インディ界隈で見つけるのはとても難しい。たいていは、今日のひと組目の彼のように、仕事ものと独自ものとの区別を自分ではしているつもりでも結果としては同じものだったことを自分で気づけないミュージシャンのほうが多い。まるでコンビニの汚れたコピー機を使いすぎて、付点なのか埃なのか見分けのつかない小さな黒い点がちりばめられた楽譜のような音楽が溢れていて、ライブではミュージシャン自身だけでなく、聴きに来たファンも複雑で心配な思いを抱く日々。そんななかで見つけたKacoさんやYUUMIさんのようなミュージシャンはこのうえなく貴重だし、これからも音楽はやめずに続けてほしいと思う、そんな日曜日の夜。地味だけど最強のブッキング。
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しかしクラシックのライブの直後にポップミュージックのライブを聴くと、なんかこう、やりきれない切なさを感じるなあ。なんだろうね、この感情。