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ニューアルバムリリース記念コンサート 「村治佳織~ポートレイツ」(楽日)

LUCID NOTE SHIBUYA

こ、このバランスの悪さはいったい・・・タイトル小さ過ぎ(笑)

二夜連続で恵比寿へ。

ゲストやサポメンなしの村治さんのライヴは初めだったことに、二夜目にしてようやく気づく。物足りなさの理由がそこにあるのかは不明だけれど、ライヴの空気感は、二晩とも同じ塩梅で薄く、どこか寒かった。あったかい空気に包まれるとか、熱気ムンムンとか、ぶわーっと押し寄せる感覚とか、ふぅっとのみ込まれそうな危うさとか、落ち込みそうなほどの深みとか、そんな類の、ライヴでしか味わえないその場の臨場感が、ほとんど感じられなかった。彼女の主張が足りないのか、こっちの感受性が乏しいのか。

演奏されてるときも、MCで話されるときも、村治さんにはスキがない。一緒に楽しもうって気がないのか、と思わせるくらいにスキを与えてくれない。地震で会場が揺れた時でさえ、その揺れよりも彼女の冷静さのほうが怖かった。うまく言えないけれど、「間」の悪さじゃなくて、彼女の場合はその「間」がないのだ。

楽曲にはオリジナルがなく、カヴァーのアレンジも人の作品なのだそうだ。彼女はそれを自分なりに解釈して、ギターの音だけでなにやらなにかを伝えてくる。作り手側の良さを伝えるプレーヤーに徹する姿勢はさすがだけれど、今回は、バラエティに富んだセットリストにもかかわらず、用意されてたギターは前半二本、後半一本だけ。音はマイクで拾ってPAに流す。凝った舞台セット、工夫されたライヴBGM、挑戦的なセットリスト・・・そのわりには、直に触れた村治さんのギターの音は、とても淡白に感じた。

一音いちおんに魂を込める、なんていう情熱論が希薄なぶん、音色のさじ加減は持ち前のテクニックが頼りのようだった。でも、この会場でそういうライヴをされてもなぁ・・・テクニックなら、もっとすごい方々が他にもたくさんいらっしゃるし・・・

昨日も今日も、幸運にもかぶりつきの席。でも、なんだかすっごく遠かった。これが今の村治さんのセルフ・ポートレイトだったのなら、ちょっと残念。次回作、ポートレイツ2に期待します。