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ハムレットQ1 – 東京公演・初日

LUCID NOTE SHIBUYA

ミュージカルをすなおに楽しめるひとにはおすすめ。

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きょうはパルコ劇場へ。ハムレットQ1の初日。宇田川町。

軽い。展開の速さもそうだったけれど、キャストや衣装、振り付け、舞台装置、照明、セリフや効果音など、ステージを構成するすべての要素がエコノミー。コスパとタイパにこだわる昨今の風潮に寄り添うような演出が、ステージぜんたいの質量を軽減する機能として作用していた。結果として、じつはこの国家的な悲劇は鼻持ちならないセレブたちのただのお家騒動だった、という解釈を観るものに教示してくれる。あの有名な独白も鼻で笑えるし、ひとの死を悲しむ余裕も与えてくれない。あげくの果てには、この陳腐なスキャンダルを全土に広める、などというひとまで現れて。。。

当時の社会風刺や歴史的な背景、古典劇としての価値や成果、作者が考えていたこと、その意図や表現したかったこと、あるいは問いかけなどを、考え、咀嚼し、なんらかの答えを見つけ、喜び、泣き、感動する、という観劇ならではの楽しい作業はほとんど必要としないし、ほぼ不可能。ただひたすらにあらすじをなぞるだけの、いわばダイジェスト版、ファスト映画のようなもの。それがハムレットQ1。

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どんな出来ばえであっても、三回目のカーテンコールでスタンディング・オベーション。これが最近の客席側に蔓延する抗えない予定調和。つまり、四回目の有無が勝負の分かれ目。