LUCID NOTE LUCID NOTE | Music show reports and Play stage reports

JiLL-Decoy association Christmas Lounge 2023 in TOKYO

LUCID NOTE SHIBUYA

師走ではめずらしく夏日になったきょう、日中に駒沢で推しのチームの今シーズン二敗目を見とどけたあと、なんであそこでコンバージョンを失敗するかなあとか、なんであれがハイタックルなんだよとか、負けた理由やら次試合への不安やらで鬱々としながら、会場の近くにある某コーヒー・チェーン店に入る。こういうお店では、聴こうと思えばちゃんと聴こえるし、聴きたくなければ邪魔にならないていどの絶妙な音量でBGMが流れているもので、コーヒーといっしょに聴きながしていればそのうち悶々とした気分も晴れていくはず。きょうの選曲は、ヴォーカル曲は英詞ばかりの、インスト曲も音数少なめのアコースティック、あるいは古き佳きジャズ風味の、季節感を全面に押し出した名の知れたクリスマス・ソングばかり。しばらくそのまま聴くでもなく聴かないでもなくまったりと過ごしていると、BGMとしてはやたらと耳に残る、どちらかと言えばやかましい部類の、日本語詞のうた声が流れてきた。

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きょうは当日駆け込みでジルデコの恒例クリスマス・ラウンジへ。セルリアン。

自分の実娘が、武装した見知らぬ男たちに誘拐され、性的に乱暴され、残虐な方法で殺され、その様子を全世界に配信され象徴的にあつかわれたとしても、同じことが言えるのかと思いながら、だれかの母であるはずの彼女のうた声を聴く。たとえ偉大なミュージシャンが想像しろと唱えても、当事者にならずにすむ方法はいまだだれも知らないし、当事者が当事者をやめる方法もいまだだれも知らない。そういえばクリスマスなんて大嫌いって歌うバンドがいるなあ。あれだって立派な反戦歌だ。

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そのうた声は知っているミュージシャンのそれだったのだが、楽曲は聴いたことのないメロディだった。曲の終わりかけに急いで書き留めたメモは「間奏 ピアノ アウトロ 長めのスキャット フェイク タイトル? たぶん10」。書き終えたときBGMは再びクリスマス・ソングへ、ビング・クロスビーの「Have Yourself A Merry Little Christmas」。一曲だけ? 名だたるクリスマス・ソングのなかになぜにこれが? そもそも彼女の歌声を街音で聴くことなどいままでないし、タイトルも知りたいし、まさかこれはライブに行けというフラグ?。調べると場所は渋谷で日時が今日! このタイミング、おそらくきっと楽しめる、ということで予約していたハコをキャンセルして、まさかのセルリアンへ。

BGMで聴いたものとは真逆なムードで披露してくれたせいか、当たっているかどうかまったく自信はないけれど、あれはおそらくたぶん、愛しのバタフライ。歌ってくれてよかった。