油断した。九月の京都を舐めちゃいかん。
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今日は平井真美子さんのソロ・ワンマンへ。京都弾丸日帰りツアー。三条高倉。
昨年の自由学園のライブのあと。「とあるひシリーズ、SNSでちょこっと発信して終わりなんて、まるでお茶を濁されているようで、やだ。せっかくあれだけ(の数の楽曲を)つくったんだからカタチできる!」と失礼にも平井さんご本人に脅迫まがいの提案をしているひとがいた。そのときの平井さんは「でもどれも短すぎるから」とずっと消極的な雰囲気だったのだが。あれから一年。なんとその短い楽曲たちを組曲ふうに構成して、まるでショート・ムービーを観るような「とあるひ」シリーズが出来上がっていた。言ってみるもんだなあ、たとえ失礼でも、と思いながら珠玉の組曲を聴く。
この五年間で平井さんの音のレパートリーは格段に増えていて、追いかけるのもたいへんだ。演奏中は脳も耳もたらふくの情報量でいっぱいになる。古いミニ・ピアノの音を手作りのエフェクターひとつでチェンバロふうの音に変えるというアイデアもそのひとつ。あれを聴いたら当時の河合楽器の職人さんも驚くに違いない。小刻みにペダルを漕いで音の強弱をつくる足踏みオルガンのほんのりとケルティックな音調は、日本人のDNAの奥に隠された郷愁感をふんわりと呼び起こす。平井さんの音が持つ和と洋の折衷感も、会場が持つ独特の古い建築物としての歴史や文化と合致して、徐々に時間軸がブレてくる。この表現力と技術力のパワーアップぶり、すごい。このようすだと平井さんの今後の活躍シーン、変わってくんだろうなあ。見逃せない。
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ミニ・ピアノ、足踏みオルガンの音から、聴き慣れたグランド・ピアノの音に戻ったときの安堵感がすこぶる気持ちい。いいライブ。