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凍える – 初日

LUCID NOTE SHIBUYA

終わったはずの梅雨が復活したような湿度高めの夏の日の雨の午後、鈴木さんの個展の初日へ。エントランスにはカウンターのような長いテーブルがあって、そのはじっこに目立たないように数枚のフライヤーが。これは誘われている、それもかなりつよく。芝居をしていないときの鈴木さんはずっとテンション高めで、あの大きな瞳を惜しげもなくこちらに向けてくる。なにもかもぜんぶ見透かされているような、直視できない天真爛漫さがあって。だれだってこのひとには嘘はつけない。観に行くと言ってしまった以上、行かねば、ということで行ってみた。

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鈴木杏さん出演の舞台の初日へ。宇田川町。

三人芝居。舞台セットはシンプルで、三人のセリフだけですべてが進行していく。どの人物のストーリーに着目するかで印象も感想も変わる。まんべんなく平等に三人ぜんいんを相手にしていくと、おそらく途中で挫折する。シークエンスも短く多く、ぜんぶで三十シーンくらい。そのたびに背景と時間経過を瞬時に把握しなければ置いてけぼりを食らうことになる。目まぐるしかったけれど、謎解きの要素がいっさいなかったのが救い。もちろん感情移入の先は鈴木杏さん(の役)。誰に対しても同じ顔で接している鈴木さんとは真逆の役柄。個人的なつぶやきを吐露するときの顔、不特定多数を相手にするときの顔、仕事をしているときの顔、そのなかでふとパーソナルな顔をみせるときの顔。それらを観るものにわかりやすく、かつ自然に、かつ大胆に、ここぞというときに使い分けるさまを、みごとに演じていて。役者だよなあ。

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この舞台、映像による演出も見どころのひとつ。終演後にスタッフさんにいくつかうかがってみたのだが、それらを総合して判断すると、映像のスタッフさんも役者のひとりとしてカウントしていい。

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