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音楽劇「クラウディア」- 東京公演 4日目

LUCID NOTE SHIBUYA

十七年ぶりの。

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リバイバルではなくリニューアル。東池袋1丁目。

地球ゴージャズの公演は旗揚げからクラウディア(アンコール公演)までは全クリしていたのだが、その後はチケットの入手が困難だったり、日程に都合が合わせられなかったりで、次第に気持ちが離れていくという、にわかファンお定まりのコースを辿ってしまい、以来まったく足を運んでいなかった。発足当時の彼らの公演は、SETの雰囲気をそのまま移植したようなステージで、内輪なノリとふたりのコミックリリーフで会場ぜんたいが家族的な雰囲気に包まれる瞬間が好きだったのだが、人気とお金が集まるにつれてセットもキャストもまさにゴージャスな公演に変化していき、徐々に近寄りがたくなっていったような、そんな記憶がある。ところが今回の公演はツートップの姿はステージにはなく、ぜんいんが新キャストという。というわけで、こちらも気持ちを新たにして行ってみることにした。

とは言うものの、この舞台のキモはストーリーにはなく、セリフにもなく、キャストにもない。音楽劇の名のとおり、すべてはサザンの楽曲で始まり、サザンの楽曲で終わる。およそ二時間半のあいだに流れるセットリストはおよそ二十曲弱。律儀にフル尺で歌われる楽曲もあれば、数小節で終わるものもあるのだが、それでもぜんぶつなげると公演時間のおよそ半分はサザンの音楽が流れているという構成だ。生粋のサザン・ファンにとっては、馴染みのイントロが流れ始めると役者さんのセリフもそっちのけ、アウトロ後のセリフもその後の経緯も見逃してしまうくらいに楽曲に没入してしまい、立派に負の連鎖に陥ること間違いなしだ。ちなみに音は生演奏ではなくオケ、アレンジはそのままのものもあればまるで違うものもあり、案の定、十七年前のセットリストとは変わっていて、またしても例のあの選曲者のエゴなサザン愛に引きずられてモヤモヤが残ったり。すべての楽曲にはエバトさんのそれとはまったく違う振りつけの、一緒には踊りたくても踊れない活きのよい舞踏が付属していて、なかでも目で追うには疲れるほどにステージのあちこちへしなやかに流れる小林さんの殺陣とダンスは、もしも彼女のソロ公演があればきっと行きたくなるくらいに、眺めるだけでも気持ちよかった。とまあこんな具合で十七年前と同様、ストーリーもテーマも深くは追えず、で結局どんな話だったっけ、という情けない結果に。

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終演後の岸谷さんと寺脇さん。ふたりに成長がまったく見られなかったのが嬉しくて懐かしくて。