LUCID NOTE LUCID NOTE | Music show reports and Play stage reports

ウダガワガールズコレクション vol.168

LUCID NOTE SHIBUYA

LOOP閉店の激震。まだ大丈夫と関係者から聞いたのは昨年の十一月。

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月に一度はジージへ行こう。今日はお昼の対バン。都合、由薫さん一択で。宇田川町。

ジージの良さは音の良さ。大きな音は大きく、小さな音は小さく、間違えればそのまま間違いと気付くクリアな音。演者の息遣い、指使い、布擦れ、足踏み、チューニング、咳払いから吐息まで、なんでもそのまま聴こえてくるからヘタな誤魔化しさえも誤魔化せない。演者の演奏技術、特徴、長所、弱点、クセなどを実力どおりに知れる場所。対バンの場合は他の演者さんと比較することも容易だ。それも短時間で正しく。若手のミュージシャンには高難易度のハコのはずなのだが、サイコパスぶりを発揮する鉄平さんがいつも若手ばかりをブッキングしてくるハコでもある。そんなジージで、昨年から追いかけている由薫さんの生演奏を初めて聴く。

さわるように、なでるように、自信無さげに、申しわけなく、つぶやくように、彼女はギターを鳴らす。イッパツのストロークがジャン!ではなくジャラン..と少し長いのが特徴だ。音の良いジージでこれがどう響くのか。秀逸なコード進行を持つ「灯火」が途中でわけがわからなくなる。弦の音が少しずつズレてバラバラに、音量も途切れ途切れに、微妙に刻むコード進行のせいか、あるいは彼女の奏法グセのせいか。彼女のギターを初めて聴いたリスナーはちゃんと弾けてないとこれを判断したかもしれない。でも大丈夫。初めてルーパーを実験的に使用した「イエスタデイ」をちゃんと聴けば、彼女なら会場の特性に合わせて演奏を変える感性と技術で解決できるとも判断したはずだ。初のルーパー実験は大成功。彼女は未来はぜんぜん明るい。

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LOOPのステージで歌う由薫さんが見たかった。余震は続く。