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2PIANO4HANDS「川村結花×斎藤有太」

LUCID NOTE SHIBUYA

月見ルの大出血イベント「2ピアノ4ハンズ」へ。

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二台のグランドを使って演者ふたりで鍵盤セッション。今回は四日間で全七公演。南青山4丁目。

川村さんのうた声は二年ぶり。以前、渋谷の再開発のあおりをくって閉店に追い込まれた某バーでのライブ後にクニさんと三人で長々と飲んだのはいい思い出。彼女は覚えてなかったけれど。斎藤さんのうた声はなんと十年ぶり。サポートメンバーとして見かけることは多々あったのだが、それだけに鍵盤の技術には不安も不満もなく、あるのは期待ばかり。もはやベテランのおふたり、まるで大トリのような初日。

演者が持ち曲を交互に演奏するこの企画。事前の打合せもリハもせず、楽曲さえも決めずにサプライズと化学反応を期待するケースもあれば、リスナーの満足度を第一に、セットをしっかりと決めてリハも熟したうえで本番に挑むケースもある。今日のおふたりは後者だったのだが、掴みやすく作られた時間の流れのなかで自然と湧き上がる高揚感、落とすべきところに確実に落としてくる安定感、ふいにおとずれるピアノ・アンサンブルとコーラス・ワーク、「ぶつかるのも楽しい」というセッションは他では得がたい貴重感。この誘導と洗脳こそがベテランの技。自由度高めに羽目をはずしたセッションもほんのり期待していたのだが、いまは二十時閉店はぜったい厳守。しかたないか。

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入店時に気になったのは、二台のピアノの足元からステージ上までの床に広く這わせた薄いアルミ箔。踏むとシャリっと音がする。床面保護と振動吸収のために厚めのラグやマットを敷くことはあっても、あやまって踏んで引きずると難なく破れそうなアルミ箔を使うなんていままで見たことも聞いたこともない。配信用の画的な演出なのか、あるいは演奏上の都合なのか、だとしても不自然きわまりないと思いながらずっと過ごしていたのだが、退店時にロフトの上から撮った画を見てその意図がわかった。

LUCID NOTE SHIBUYA

月。