LUCID NOTE LUCID NOTE | Music show reports and Play stage reports

第28回 奉納靖國神社 夜桜能<第3夜>

LUCID NOTE SHIBUYA

今年は無事に開催。

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それでもハードルは高い。九段北3丁目。

日本人特有のリズム感と刺激的なイントネーションを使って、今では使われない日本語と今でも使われている日本語を交えて演じるから、しがたってセリフも歌詞も思うようには聴き取れず、ストーリーもまったく理解できない。ということで今年はイヤホンガイドを利用してみた。解説者は武蔵野大学能楽資料センター長の三浦裕子さん。聴き取りづらい単語や専門用語、ストーリー展開の勘どころ、舞台歴史のウラとオモテの解釈、演出における現代劇との差などを、画的に肝心なシーンと重ならないように絶妙なタイミングで説明してくれる。これがあるとないとじゃおもしろさの度合も違っていたと思う。

LUCID NOTE SHIBUYA

演目は、火入れ、舞囃子、狂言、能、の順。能以外は上演時間も短く、まるでオープニングアクトのような扱いなのだが、それぞれ味わいがあって興味深く観ることができた。能の上演時間は約六十分。短い時間、単純なストーリー、定型不変の舞台セットという条件のもとで、幻想的で厳粛な衣装、感情を刺激する能面、数種のリズム楽器と数名のシンガー(じうたい)によるアンサンブル、役者による繊細なアクションと大胆な舞踏などで表現される総合芸術。それを靖國の桜の下で観られるなんて、日本人に生まれたよかった。

LUCID NOTE SHIBUYA

来年もぜひ。