チャラにしなくてよかった(渋公)。
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ヒグチアイさんのワンマン、五度目のチャレンジへ。今日はベスト盤のリリパ。宇田川町。
彼女のうた声は、どれだけ張ってもライブハウスではバンドの音圧には耐えられない、というのが四度目までの答えだ。声を張れば張るほど震えて歪み、ピッチも不自然にぶれる。結果的に声量も安定しないから音ぜんたいのバランスが崩れていく。今日も何度も崩壊していたのだが、それらを差っ引くと五度目にしてやっと、まさにベストなバンドライブ。なかでも「八月」のステージは思わず小さく声が出てしまった。すげー。この部分だけなら配信でもう一度拝んでもいい。セットリストはベスト盤を上から順に工夫もなくなぞったもの、客入れBGMはタイトルに「愛」の文字が含まれるJ-POPをランダムに、というまるで若いインディのシンガーが考えそうな安直さも潔く、もっとちゃんとやれよとも言いたくもなるのだが、本編終了後の最後の最後に新作を弾き語ってくれた。彼女がこれくらいの演奏と声量でサラリとうたうとき、歌詞がよどみなく脳内を侵食し、もっとも攻撃的で、力強く逃げ場を閉ざされ、否応なく説得される。ずるいな、これだから何度もチャレンジしたくなるんだよな。
あれから二曲しか書けなかった理由がそれなら、収まらないかぎり今後もしばらくは書けない、ということになるのだが、いいのかそれで。