LUCID NOTE LUCID NOTE | Music show reports and Play stage reports

奥村 愛 ヴァイオリン・リサイタル ―美について想うとき、私たちは―

LUCID NOTE SHIBUYA

タイトルがそこはかとなく昭和後期のシブヤのサブカルチャー。

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奥村愛さんのソロワンマンライブへ。富ヶ谷1丁目。

幸運なことに07年から年に一度は奥村さんの生音を聴けている。彼女のライブはソロがもっともエキサイティングだ。クラシックだから手拍子とか拳を振り上げるとかコールアンドレスポンスとかはできないが、心地の良い白寿のシートにじっとして座っていながらも、脳内ではそれらをやかましく実践できるくらいの高い興奮度を味わえる。今年も溜め込んでいたカロリーを、ほんの二時間で一気に熱量として脳内で消費してしまった。ファーストセットは、技術的に難易度の高そうな楽曲がずらり。一曲目から彼女の左指先が消えて見えるほどの速弾きの連続で、こんなクラシック素人でものっけから全力疾走を強いられた。セカンドは日ごろの想像力を試されるセットリストで、硬く融通の利かない小さな右脳を容赦なくフル回転させられた。全般的に納得できる演奏だったのかどうかは本人のジャッジにお任せするしかないが、挑戦的で負けず嫌いで情熱に正直でひたすらテンポの良い今日の彼女のステージは、クラシックだけれどロックそのもの。今年もかっこよかったなあ。

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明日もクラシカルなホールへ。