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THINK OF SONGS #13:坂本美雨 | Memories of Shelter – story 3

LUCID NOTE SHIBUYA

こんな夜に原宿へ。会場に近く、花火には遠い。

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坂本さんの自主企画ライブへ。二度目。千駄ヶ谷3丁目。

音楽をつくる人、演奏する場を提供する人、実際に演奏する人、その演奏を聴く人。このなかの聴く人以外のいわゆる関係者と呼ばれるひとたちが、今日の場合、ぜんいん坂本さんの知人や友人だそうだ。そこには時間と権利関係の制約だけを残し、オトナの事情やセールス的な諸条件からできるだけ避難して、ミュージシャンがどこまで自由に音楽を表現できるかを実践するような企画ライブ。坂本さんは、その避難先をシェルターと呼ぶ。今日はその第三回目。

聴く人も含めてすべてが関係者で構成されていれば、もっと自由な表現が可能になるかもしれない。だからこそファンは大切だとミュージシャンは言う。逆に、関係者に他人が加わり、自分には扱えないくらいの強大な金と人が流動し、聴く人も不特定に増えていくと、表現の自由度は不可逆的に低くなる。聴く人たちをまったく無視して自慰行為的に表現するのも自由だが、それをやると、たとえばこの企画がそうなった場合、以降の開催はあやしくなる。表現する側とされる側とのあいだの力学はいつだって複雑なのだ。坂本さんはその複雑性をずっとクリアしていて、あるいはスルーしていて、第四回目の開催は十月だ。多くの人に観てもらいたいと思うのが良いのか、知る人だけが集まってほしいと思うのが良いのか。どっちだろう。

LUCID NOTE SHIBUYA

花火は一瞬。音楽は永遠。