LUCID NOTE LUCID NOTE | Music show reports and Play stage reports

サザンオールスターズ LIVE TOUR 2019「“キミは見てくれが悪いんだから、アホ丸出しでマイクを握ってろ!!” だと!? ふざけるな!!」(北海道公演・二日目)

LUCID NOTE SHIBUYA

おそらくこれが今ツアー最後のシットイン。

//

たった一晩で帰るのもモッタイナイので、今日も札幌。羊ケ丘。

今日の桑田さん、よくがんばった。うたの途中で咳払いをされたのを初めて見た。たとえ歌詞が飛んでもぜったいに声を失くさずに歌えるあの桑田さんが、ライブも終盤、のどがつかえて余儀なくうたを一瞬止めてしまった。歳を重ねるとはこういうことなのかもしれないと思うと、なんとなく切なく、そしてずっと優しくなれた。長いあいだファンを続けて同じ時代を共に過ごしたという仲間意識を、どれだけステージから遠い場所に居たとしても、会場ぜんたいでそれを共有するのが今のサザンのライブだとしたら、今日のライブは大成功だ。

そもそもステージから聴こえてくる音だけに耳と意識を集中させることは、サザンのライブでは困難なのだ。その曲ごとに思い出があり、桑田さんのうたごえやバンドの音がその記憶を呼び覚ましてくる。いい思い出もいやな思い出も、音と一緒にぜんぶがひとつになってその曲をつくり上げているから、いろんな意識があれこれと頭に浮かんでは、その度に意識が立ち止まってしまう。それでもライブはお構いなしに進んでいくから、もっと音に集中しなければと思うのだが、そう思えば思うほど、音以外の思い出が頭のなかを駆け巡る。いま起こっているステージでの出来事をしっかりと目と記憶に焼き付けたいのだが、思い出がそれを邪魔するという状況は、ライブの楽しみかたとしてはまったく好ましくない。という意味では、新曲の披露はほんとにありがたい。どんな歌詞なのか、どんなメロディでどんなアレンジなのか、音にだけ集中できる。それを何度か繰り返すことで徐々にその曲が好きになり、そこから思い出が付け加えられていき、またひとつ曲として仕上がっていく。サザンはそうやっていつもファンをリードしてきたし、きっとこれからだってそうだ。

//

来週は今ツアーの到着地、東京ドーム。当たればラッキー、外れたって泣かない。