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TOKI ASAKO LIVE TOUR 2018 “サファリの夜の夢”(広島公演)

LUCID NOTE SHIBUYA

親知らずの痛みは、今日も彼女を悩ませる。

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土岐さんの真冬のツアー、広島公演へ。中区中町。

一度は来てみたかった広島のライブジューク。一般企業が入居する19階建てのオフィスビルの19階に、他の飲食店と並んで居室していた。席数は3桁前後。想像していたよりも小狭で、フロアとステージは同じ高さにあった。手を伸ばせが届く近さで土岐さんが歌う。ヴォーカルのスピーカーだけが頭上にあり、土岐さんの声は真上から、楽器の音は正面から。壁に額縁で飾られたこれまでの出演者のサイン入りフライヤーを眺めると、ブッキングは東京で例えるならブルアレに近い。名と実の揃ったミュージシャンでなければ、ここのステージに立つのは難しそうだ。

今回の土岐さんのツアーの見どころのひとつは、トオミさんの鍵盤。とりわけ、夏のツアーでは見られなかったグランドによる演奏は、その表現力の違いにのけぞる。ビタースウィート以前の土岐さんを知る人には、懐かしい音の波。エレクトロだった夏がナチュラルな冬に。ジャジーな土岐さんとポップな土岐さんを合わせて拝めるなんて、極上だ。最終日の高松のライブハウス。グランド、あるのかな。

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今日のライブ中、トオミさんを紹介する際に土岐さんが唐突に名前を出した彼女について。

彼女のライブにはこれまで何度か行かせてもらっているが、それとは別に、彼女が一時休養していた時期も含めて、他のミュージシャンのライブで何度かお会いしてきた。こんなふうにたくさんのライブに通っていると、客席内やエントランスでミュージシャンに遭遇することは稀ではないのだが、そんななかでも彼女は別もので、遭遇回数はやたらと多い。精力的にという表現があながち間違っていないほどに、彼女は自分以外のミュージシャンのライブに足しげく通っていたし、これからも通うはずだ。直近でお会いしたは、土岐さんの今夏のヒューリックホールのエントランス。

「ここでライブやるんだって?」 「え! バレました?」

彼女と遭遇したときは必ずこのフレーズが会話の中に登場する。土岐さんのときもそうだ。彼女が自分以外のミュージシャンのステージを観る理由が、勉強のためでもなく、楽しむためでもなく、ましてやお付き合いのためでもなく、自分のアイデンティティを探すため、ということだということを、会話の中で気づかされるからだ。このフレーズは、どんなかたちにせよ、いずれは必ずここでライブができるようなミュージシャンになる、という音楽への意気込み、本気度、愛情、思いやりを、お互いが感じたからこそ交わせるフレーズなのだ。ループ、ハレマメ、ヒューリック、オーチャード、武道館、他たくさん。遇うたびに交わした冗談のような本気のフレーズ。そんな彼女が音楽から離れるわけがない。離れるのは今の事務所とレーベルだけだ。憶測を含め、希望を込めて。

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そういえばこの前、玉木さんにも遭遇したなあ 笑。