演奏家はくちベタなくらいがちょうどいい。
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矢野沙織さんのライヴにぷらっと青山へ。今日はビリーホリデーさんをトリビュートしたレコ発ツアーの最終日、だったらしい。お若いのに随分と渋いこの企画、彼女ご自身の発案だったそう。
ジャケットやプロモーションでの見た目は、ありがちにとんがってる印象もあるけれど、ライヴでのご本人は、いたって控え目で素直でまあるくて優しくて、ふつうにやんちゃ。MCでは敬語や丁寧語を、まだまだろくすっぽ上手に使えない女子だけれど、サキソフォンではストレートに感情をぶつけて納得させるグッド・プレーヤー。若いころってテクニックばかりに走ったりするけれど、そこはさすがにプロ、裏付けと背景をしっかり表現しようと頑張ってた。うーん、泣かせるぜ。
サポートの斎藤ネコさんのバヨリンにも泣かされた。(桑田さんの現代東京奇譚のアレンジで一枚噛んでらっしゃいます)
今回は照明や舞台装置もプロデュースされたのか、演出もさりげなくかっこいい。場所を円形劇場にした意図がよくわかるナイスなステージ。
矢野さんは、日本でライヴを始めたころはお客さんが三人だけ(うち身内ふたり、残りひとりはヨッパライ)のときもあったそう。それでも「苦労を知らずに育ってきた」って笑っておっしゃる。場数をしっかり踏んで得られた自信と実績。末恐ろしい22歳のプレーヤーでした。