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宮﨑薫×斉藤麻里 ~Daikanyama LOOP 9th Anniversary~

LUCID NOTE SHIBUYA

桑田さんのツアーをおっかけてる最中だからといって他のライブには行かないってわけじゃなく、こそこそと渋谷界隈で物色してはいるものの、なかなか筆が進まない(書いては消してを繰り返している)。要はこれっていうライブに遭遇できずにいる、てこと。

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タイトル通り、今日は宮﨑さんと斉藤さんのツーマンへ。鉢山町。

素人のやっつけシンガーたちが、ピアノの伴奏だけで自慢ののどを披露する音楽イベント。予選で選び抜かれた出演者たちは、思い思いの歌い方で、根拠のない自信と、あわよくばな夢や希望で思い思いの楽曲を歌う。選曲は出演者がそれぞれ決めるので、タイムテーブルを眺めると、歌謡曲、アイドルポップ、演歌、ジャズ、ロック、ブルーズなど楽曲はジャンルレス。ある人は可愛らしく、ある人はドスをきかせ、ある人は淡々と、ある人は汗をたぎらせる。下手な人から順番に歌っていき、トリは一番上手い人が、というわけでもないから、セットリストには脈絡やストーリーはなく、唐突にサビで始まり、途中に理由もないヤマがあり、最後はなんとなく終わったりする。凸凹はあるけれど押しなべれば平均的で、だれもがそれなりに楽しめるものとして、昔から今も立派に成立している音楽イベント、のど自慢大会。斉藤さんのライブはそんな感じ。

シンガーとして声に特長がないのが特徴で、クセがなく、きわめて平均的。独自のメロディや節回し、世界観や音楽性、飛びぬけたところ、劣っているところ、どれも見つけづらいし見当たらない。パフォーマンスではひとつひとつの曲ごとに、それぞれ違うミュージシャンを想起させる。あ、それ、あの人のあの曲?というぐらい具体的に。トリビュートとコピーのボーダーは曖昧だが、そこに独自性や個性が見当たらない場合、トリビュートもコピーと言われる昨今。キツイね。とはいえ、これまでのいろんな事情や感情のすべてをまるまる受け入れて、ひときわ熱心に、ひたすら長く応援しているファンが彼女にも一定数いるわけで、彼女が歌い終わるたびに歓喜する彼らのその様は、他のミュージシャンのライブと同様、とても普遍的だ。そういう意味でも斉藤さんは平均的で、平均以下のミュージシャンが多い中、ライブを楽しむことが日常のヘビーリスナーにとっては、ライブも楽曲づくりもコンスタントにこなしているとても貴重なミュージシャンのひとり。またそのうち、だれかのなにかのイベントで。

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宮﨑さんについては、次回へ持ち越し。