LUCID NOTE LUCID NOTE | what Shibuya living in SHIBUYA have seen and felt

Shadows and Light

LUCID NOTE SHIBUYA

雨のリーガル・パッド。

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今日は、こんなふうにライヴハウスに足しげく通い続けていれば、いつかは出くわすだろうシンガー2組を含めた全4組の対バン。南青山4丁目。

山田タマルさんとFiddling Leona & JPのトリオ。タマルさんの非の打ちどころのない落ち着きは、無駄な熱を込めないオトナのステージング。際立った主張のないヴォーカルは聴きやすいけれど、アコギでの弾き語りはこういうライヴハウスでは物足りなさも。一方の、Fiddling Leona & JPのお二人の主張はチカラ強く、これでやっと帳尻が合った、という表現が正しいかどうかはわからないが、全7曲を聴く間に紆余曲折した印象を程よくまとめると、声に深いシャドウな表現が加われば、タマルさんはジャズもいける、という感想を得ることができる。

宮﨑薫さん。こういう対バンにはつきものだが、前組があまりに落ち着きはらったステージングだったせいで、いくぶん忙しなさが強調されてしまった1曲目。経験も年齢も若い宮﨑さんにとってはこればかりはどうしようもない。2曲目以降は、いつもどおりの宮﨑さんのヴォーカルのグルーヴで、やさしい緊張感の中にゆっくりと引きずり込まれる。この魔力。まだ隠し持ったチカラを出し惜しみしているようで、温存されたパワーが解放されたときを想像するとちょっと怖くなる。Lovin′ Youはその前兆。

我那覇美奈さん。来年がデビュー20周年というベテランさんを本日ようやく初聴。本人ギターとサポートにキーボード。今日のこの声は、デフォルトなのか今日だけなのか、あるいは時の経過とともに変異したものなのかは不明だが、聴き慣れてくるとこれが意外とロックンロールなハスキーヴォイス。楽曲はまったくロックとは程遠いのだが、聴きづらさを聴きやすさにとってかえる昨今のアレンジ技術を駆使すれば、きっとおもしろくなる声。ブランディングされた「奄美」を担うミュージシャンのひとり。いつかまたどこかで出くわすことになるんだろうな。

アコースティックなステージが続いたおかげで、そろそろキックの音が欲しくなる時間帯の夕食ホット。初聴。ラップという音楽が、一直線に思いを届けることができる音楽だとすると、そのメッセージはライヴでこそ活きてくる。日本のラッパーの多くは、どこかリアルで共通の胡散臭さをたたえていて、それが日本のラップというジャンルを形成している、と思う。間違ったシーンで聴くとストレスにもなり、ベストなコンディションで聴くと必要以上にエキサイトする。その点、夕食ホットの音楽は、その日本のラップが持つリアルな胡散臭さを、すっきりと取り除くことで、無駄なストレスを感じさせないことに成功している。当然すでにそれはラップではないのだが、かといってポエトリーなファンタジーでもない。歌詞から連想される映像は実にリアルな光景だ。とはいえ、ライブにおいてこういう音楽を最大限に楽しみたいなら、あらかじめじっくりと聴き込むことが前提となるわけで、一見のリスナーにその手間を強いるのは、今の時代、かなり難しい。悩ましいね。というわけで、最新盤を1枚ゲット。

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終わってみると、なかなかの質感のブッキング。フロアはちょっとさびしかったけれど、それはきっと雨のせい。