LUCID NOTE LUCID NOTE | what Shibuya living in SHIBUYA have seen and felt

猛暑ですe.pファイナルスペシャルライヴ ~ハッピーエンドはドラマの中だけ~

LUCID NOTE SHIBUYA

GARDENのキャッチコピーは「下北沢エリア最大のキャパを誇り、こだわり抜いた音響と空間」だ。

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読まれてこそ詩になるのよ、という短編を読んだ。音楽をこれに当てはめるとそれはそのまま「聴かれてこそ音楽になるのよ」だ。代沢2丁目。

3×3の9マス目の、左上から右へ3つ判が押された真新しいラジオ体操カード1枚と、まだ手に入れていない彼女がデビュー後にリリースした音源2枚を、物販ブースで受け取った。スタンディングで聴かせるために準備されたフロアの壁沿いに、程よい距離感で整列された折り畳みの椅子に浅く腰かけて、いま手に入れたばかりの音源2枚のうち、新しいほうの音源のラッピング・ヴィニールを丁寧に剥ぎ取り、透明のプラスティック・ケースの中から、ジャケット兼歌詞カードを角が折れないように慎重につまみだした。そこから開演時間までの約60分間、彼女が書いた歌詞を丹念に読むことにした。なんてったって、今日の会場は「下北沢エリア最大のキャパを誇り、こだわり抜いた音響と空間」であるGARDENだ。きっと彼女のことだから、この会場の長所を最大限に活かして、彼女が書いた歌詞を彼女自身がしっかりと聴かせてくれるに違いない、という根拠のない期待を持ちつつ全編を読み終えたころ、客電が落ちた。

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終演してふたたび客電が灯ったとき、いまのこの顔は誰にも見せられないと思った。GARDENは地下2階にあり、大きな音を出しても近所からクレームは来ない。音圧さえ上げておけば、たとえ下手でも上手く聴こえる、という旧態依然な考え方が通用するつくりだ。でも、彼女の持ち歌の中には、そんな乱暴で粗雑な楽曲は存在しないはずだ。この音で良しとしたのは、GARDENなのか、それとも彼女なのか。それを知るすべはないけれど、こんな音では彼女の音楽は聴けない、そんな顔をしていたと思う。

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こんなとき、たいていの場合、責任のすべては、彼女が負うことになるのがメジャーの掟。