海について。
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きょうは『ここが海』の初日へ。太子堂4丁目。
黒木さんも橋本さんもいい人っぽく見えるけれど、じつはめんどくさい役柄。なんでも否定から入ったり、根拠のない決めつけで会話を進めるひとっているけれど、このふたりの場合は、そんな否定や決めつけを隠そうとして疑問文と自問自答で会話を進めていく。だからなにも決まらないし、遠まわしだし、あちこち飛ぶしで、傍で聴いてるとイライラもするし、滑稽でもあるし、うんざりもする。加藤・橋本コンビの真骨頂な会話劇。
そんな父親と母親のあいだでよくこんな中田さんのような子どもが育ったよなあ。ほったらかしと自由、やさしさと無関心は、つねに紙一重。怒りの感情ではないって、じゃあどんな感情なんだよ。反発されるのが怖いのならそれはただの意気地なし。しかもとびっきりの。橋本さんのような父親ほど信用も信頼もできない父親っていないよなあ。
少しずつ変わっていく黒木さんの芝居を観察すると、こんなにあからさまなひとが近くにいないこともあって、気づかされることも多い。むしろ多すぎて混乱してしまう。もしもこんなひととじっさいに出会ってしまったとしたら、おそらく思いきり、めーいっぱい、できるだけの距離をとる。もしも大好きな黒木さんが明日記者会見を開いてカムアウトしたとしても大好きをやめない自信はある。それくらいの距離感。
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おそらく近いうちにもう一回、観に行く。いい舞台。