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由薫 弾き語りツアー 2025 “UTAU” – 初日・広島公演

LUCID NOTE SHIBUYA

終戦の日に靖国には行かない。三月十八日に行く。奄美沖でおじが特攻した日。

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さて、きょうは由薫さんの弾き語りツアーの初日へ。ネタばれなしで書くむつかしさを痛感しながらポストする広島の夜。十日市町1丁目。

当時の「下北沢の三人くらい」のうちのひとりがいま広島にいる、というなんだか不思議なきぶんで過ごす。変わっていないといえば変わっていないし、別次元の飛躍を遂げたといえばそのとおりだし。あんなに顔をくしゃくしゃにしてうたってたかなとか、高い声は出にくくなったけれど、そのぶん低音の魅力が倍増していたりとか、MCの量質は段ちがいのパワーアップだなとか。

会場は初めてなのに到底初めてとは思えないつくりのヲルガン座。道玄坂の老舗のライブハウス界隈でもここ最近話題にのぼるくらいの広島の名店。店がまえや内装の雰囲気は絵にかいたような欧風のアンダーグラウンドなそれだけれど、店そのものは地上二階にある。あのディアの剥製がほんものならまさに真・アングラ。窓のない狭く小さな会場で、音まわりも質素そのもの。うたもギターも音響もすべて由薫さんがひとりでこなす真・ワンマン。バランスの調整にはずっと手こずっていたけれど、その手づくり感、新鮮なホカホカな手アカのついた音のかたまりは、かの女が「修行」と表現した当時の下北沢の音にほど近く、懐かしくもあり、切なさもあり。ギターの音が小さいと感じたときは、それはかの女の自信のなさだと思うのが正解。ドンマイ。

ギター一本(じつは二本)で全国を巡る今回のツアー。その場かぎりのご当地ソングもあるとかないとか。明日と明後日は四国を巡る。さすがZ世代。コスパとタイパの効率重視のスケジュール。これを組んだスタッフ、有能すぎる。

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かれの遺品のほとんどは知覧にある。