LUCID NOTE LUCID NOTE | Music show reports and Play stage reports

歌わせたい男たち – 東京公演・初日

LUCID NOTE SHIBUYA

相島さんの雄姿を拝観しに、ふだんは行かない小屋へ。

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手垢にまみれたテーマだが。西池袋1丁目。

この舞台をおもしろく観られないひとは、自分の考えがすでに定まっているひと、あるいは問題に対する答えをしっかりと持っているひとだ。そういうひとは、もしかするとおもしろさよりも憤りを感じるかもしれない。じっさいの現場で起きたはずの出来事の一部を取り上げて、さらにそれを矮小化したり、集約化したり、あるいは省略化している以上、むしろ切実で深刻な問題をこんなふうに扱ってほしくないと彼らは思うかもしれない。すなわち、当事者、あるいは当事者意識を持って日々を過ごしているひとたちだ。そんな彼らがこれを観ておもしろいと思うなどとは到底思えない。

いっぽうで、この舞台をおもしろく観られるひとは、自分の意思や思想、信条や信仰が定まっていないひと、あるいはそれを定めることに自信を持てないひと、マインドの制御や思い込み、ものごとに没頭することに不安を感じてしまうひと。登場人物たちの相反する主張に対して、自分の考えも右往左往することにおもしろさを感じてしまうわけだ。つまり、たいていのひとはこの舞台をきっとおもしろく観られると思う。逆説的にいえば、この舞台は当事者意識をいっさい持たずに観ているひとたちへのアンチテーゼも多分に含まれていて、おもしろおかしく観るのもいいけれど、少しは考えてよねってことかと。ほんとよくできてるわ。

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相島さんはトップシーンから登場。出し惜しみしない芝居が気持ちいい。