冒険のはじまり。
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今日は佐藤千亜妃さんのライブへ。初見、初聴。羽田空港1丁目。
毎日、サブスクでたくさんの楽曲をお手軽に部屋中に流しながら、リリースによる追加とスキップという淘汰でお気に入りの音源だけを蓄積して残していく。ボーカルのある音源を聴くときは、たいていはリズムから、つぎにメロディ、アレンジ、声色や質、最後に歌詞、という順で聴き込む癖があって、たとえばリズムが気に入らないと、すぐに次の曲へスキップしてしまう。
そんななか、佐藤さんのKOEは、いまでもしぶとく生き残っていて、「困ったときのKOE」のような聴きかたをしていることに気付いたとき、今日のライブへ行こうと決めた。KOEだけで始まるM1、アルバム中で唯一ライトでポップなM4、メロウなスイングのM5、昭和オールドなサビが秀逸なM6、まるでコバタケなイントロのM7、電子音だけで組み立てたM9、一転アナログな始まりのM10からM12の三曲は、メロディも歌詞もずっとお気に入りだ。歌詞の内容から作者の人格を想像するのはリスナーとしての勝手な特権だけれど、こんな詞を書けるひとに悪い人はいないはず。しかもこれだけ聴き込んでいるのだから、リリース・ライブに行かないという手はない。というわけで、初めての佐藤千亜妃さんのライブ、初めてのゼップ羽田へ。さあ冒険のはじまり、いざ!
アルバムをたいそう気に入ったという理由だけで選んだライブだから、期待したはアルバムの世界観の体現だったのだが、どうやら期待が大きすぎたようだ。冒険はおわった。
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それでも四曲目まではちゃんと聴いたのだ。ちゃんと聴いたからこそ悔いなく途中で退場できたのだ。今回の冒険は失敗したけれど、次がないわけじゃない。なんたって「KOE」は今年もっとも頻聴したアルバムだから。