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Schrodinger=Mushroom pre. “水滴スイトピー” レコ発イベント「春雨の中に咲く」

LUCID NOTE SHIBUYA

年度初め。ワンマンのようなタイトルだが実は対バンのイベントへ。

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パーフェクト・アウェイ。北沢2丁目。

フロアをほどよく埋めたリスナーはほとんどが十代から二十代前半。イベントの後半にかけて少しずつ平均年齢は上がっていったけれど、それでももっぱら若い客層。こういう文化祭的なノリのイベントはひさしぶり。おじさんやおばさんには完璧なアウェイだが。

今日は四組の対バン。うち三組がゴリゴリのバンド。どいつもこいつも音のバランスよりも音圧をひたすら上げて、技術の低さを隠す努力を惜しまない若い音づくり。そんななか誤魔化しのきかないギター弾き語りで登場したのが由薫さん。紅一点の無敵ぶり。衣装は、上は白の半そでシャツ、下も白の薄地のロングパンツ。セレブなママを持つレディが避暑地でスマートに着こなすようなシンプルなセットアップは、まるでファッションモデルのよう。ERAのようないたって平均的なつくりのライブハウスのステージに立つ彼女を観たのは初めてなのだが、思わず見惚れてしまった。こんなにステージ映えするひとだったかな?

セットは全六曲。既聴もあれば初聴もあり。なにが不思議かというと、彼女の生歌は、数名のおじさんおばさんリスナーに交じって聴くのと、今日のように若いリスナーばかりが多く集まったなかで聴くのとでは、受ける印象がまったく違うってことだ。共感のスイッチも反感のルートも異なる場所にあって、いつもの歌をいつもと同じように聴いているつもりでも、まったく違う歌に聴こえる。このライブ感、ガキどもにはわからんだろうな。「170」のサビがそれを増幅させて、ありえないくらいにグっと近寄られて、つまり、逃げたくなった。「終電」のサビの彼女の熱い歌唱にはホッさえした。確信したのは、彼女は低いステージよりも高いステージに向いているってこと。

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今年度も辛抱づよく、所々で、確実に、由薫さんを追う、推す。