ベートーヴェンのピアノソナタ第8番「悲愴」第2楽章を上原さんが料理する。
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16日間32公演の折り返しは全編バラード公演。必聴必見。南青山6丁目。
先週と先々週の2つのプログラムはアルバムタイトルそのまま、ライブの内容や雰囲気、落としどころなどをあらかじめイメージしやすかったのだが(結果はどうあれ)、今日と明日の公演のタイトルは「バラッヅ」。ブルーノートの宣材には「バラード曲を中心に構成」とだけあって、ふんだんな音数と速弾きで忙しなく鍵盤をたたき倒すあの上原さんがバラード? しかも全曲?・・・ってどんなことになるのかまったくイメージできずに挑んだ70分間。
まさか睡魔に襲われるなんてことにはならないよなと思っていたのだが、クラシック風にブルース風に和風にとアレンジや調子を小節ごとに小刻みに変えてくるから眠くなるスキなどまったくなく、逆に耳も脳も緊張しっぱなし。主旋律こそメロディアスでスローテンポなバラードそのものなのだが、インプロのしかも佳境に差し掛かると、いつ爆発してもおかしくないくらいのギリギリのラインで攻めてこられてハラハラドキドキで飽きる要素もない。即興とはいえ、じっくり煮詰めて隅々まで計算されつくしたライブ。上原さん曰く「こんなマニアックなライブに来るような今日のお客さんはコアな方々(ファン)ばかり」。一瞬にして客席との信頼関係を築く技アリなコメントも清々しい。ブルーノートの照明も控え目だけれど抜群のタイミングで効果的な印象演出。これなら配信でも観る価値アリだ。
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そして上原さんのヘアメイクと衣装にも要注目。