LUCID NOTE LUCID NOTE | Music show and Play stage reports

『晴れたら空に豆まいて19周年記念』 森恵 × 矢野まき

LUCID NOTE SHIBUYA

雨。こんな空には豆はまけない。

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きょうは晴れ豆へ。森さんと矢野さんのツーマン。代官山町。

森さんのうたごえは、初聴が2010年、二度目はその七年後の2017年、そしてその八年後の2025年のきょうが三度目。五輪よりも低い頻度で出くわしているせいか楽曲についてはほとんど記憶がないのだけれど、張りのある声でトコトン歌い上げるシンガーという印象だけは記憶のすみに残っていて、それらをなんとか叩き起こしながらながら聴く六十分。きょうの森さんの印象は綺麗。綺麗なうた声でうたい、綺麗にギターを弾き、綺麗に進行して、綺麗にヤマ場をむかえて、綺麗に終わる。非の打ち所も、そつも、隙もなく、デコボコさえも綺麗に見せる。本屋の棚に几帳面に順に並べられた各教科の教科書のその背表紙の列をざっと眺めるだけでなんとなく勉強した気分になる、そんな感じのライブ。これは手ごわい。

いっぽうの矢野さんのライブは人間味たっぷり。勉強机のうえには手垢たっぷりの教科書と、表紙を引き裂かれた落書きだらけのノートブック、先の折れたえんぴつ、まるまった消しゴムのカス、飲みかけのコーヒーカップがなぜかふたつ。本棚にはところせましに積み上げられたコミック本。くず入れがわりのダンボール箱に捨てられたくしゃくしゃの通知表にはそれでもぜんぶ5がならぶ。そんな感じのライブ。これも手ごわい。

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矢野さんのライブは近々また。森さんのライブも忘れないうちにぜひまた。