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舞台版 嫌われる勇気 – Day 4

LUCID NOTE SHIBUYA

ななみちゃんがいた。

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きょうは二十年数年ぶりに紀伊國屋ホールへ。もはやレトロな味わい。新宿3丁目。

なんらかの解答や解釈を観るものに丸投げしない舞台は観ていて楽チンだ。いっぽうで押しつけや決めつけを感じたときはうんざりもするしイライラもする。きょうの芝居はどちらかといえば後者に当てはまっていたのだけれど、まあまあ許せる範囲のうんざり感。アドラーの言葉を前面に押し出したいくつかの演出やセリフは、原作本のためのよくできたセールストーク。うんざりする前に笑いをこらえるのに精一杯。

そもそも自己啓発本なんて癒し以外のなにものでもない。ビジネス本とかハウツー本とかも、写真集、コミック本、文芸書などとなんら違いのない癒し本。じぶんを癒すために買って読むもの。癒しを目的としているから、そのなかみを実践したり、実際に行動にうつしたりはしない。たとえそのなかみにひどく影響を受けたような気分になったとしても、その強さは目をページから離した瞬間に消えてなくなる、あるいは数分後には記憶からもなくなるていどのもの。芝居だっておなじだ。音楽とか映画とかもおなじ。癒されたいから観るし、聴くし、読む。自覚無自覚はべつにして。頭で考えたものを言語化し、文章にまとめ、編集し、さらに本にまでしてしまうスキルや技術には感銘を受けるし感謝もするけれど。高尚にアドラーの言葉なんて使わずに、丸投げしてくれてもよかったんだけどな。

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それにしても石田佳央さんがすごい。真の助っ人。役者のなかの役者。