情報量が多くて。
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きょうは田中彩子さんの日本ツアーの東京公演へ。紀尾井町。
一度くらいはソプラノをライブで体験しようと思い立つまではよかったのだが、そのまえにこの界隈の情報にはまったく知見がないことに気づき、だったら誰でもいいや、とやっつけで取ったきょうのチケット。なんとソールド・アウトになったらしい。田中彩子さん、その筋では大の人気モノだそうで。
姿勢良く起立して、胸元でしっかりと両手を握りしめ、足元の位置も顔の表情も変えず、直立不動で歌う、という事前の偏見を真っ向から否定される。無知って怖い。唇と顎以外のすべての身体的動作を禁止されたミュージカル・シンガーを想像していたのだが、それとはまったく異次元の生きものがそこにいた。自分もちょっとだけ高尚なひとになったような、そんな勘違いを誘発するステージング。これが世に言う上品とか、気品とか、美とかというものか。まぶしい。
前半は、バッハ、モーツアルト、ヘンデルなどクラシカルな面々の楽曲。このあともぜんぶクラシックで良いぞと思っていたのだが、後半は映画音楽やチック・コリアなどがセットされていて、会場も徐々にカジュアルな空気に。ソプラノはだれが歌っても、どんな楽曲でも、ぜんぶ同じに聴こえるだろうから退屈するだろうなあ、という事前の偏見をこれまた全否定される。この変幻自在な表現力、想像を越えた技術力、音楽でひとを魅了する技巧のすべてが目の前で展開されていくライブ。すごい。ソプラノ初体験、大成功。
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だからといってまたソプラノを聴きたいかと訊かれると、そいういうわけでもなく。誰でもいいやはもう通用しそうにない。