だからといって、いつもトム・ウェイツが流れているわけじゃない。グレープフルーツ・ムーン。
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今日は寺地美穂さんのリーダー・ライブへ。新婚さんのお昼のライブ。太子堂2丁目。
リーダー・ライブとは、サポートじゃなくてフロントで、というミュージシャン側の強いこころ意気と元気をふんだんに含んだ、主にジャズ界で使われる業界用語。常にフロントで活躍する名うてのミュージシャンたちには使われないので、ある種の消極性も含まれる用語なんだろうけれど、そのフロントマンが信頼を寄せるミュージシャンだからこそ、そのパフォーマンスに間違いなどあるわけがない。そんな技術的にも人間的にも上質なミュージシャンのライブに、宮﨑さんがゲストで出演されると聞いて一目散にグレフルへ。
アンコールも含めてヴォーカルで四曲も聴かせてもらえるとはありがたい。しかもオリジナルまで。Whyは、初めて聴いたときはピンとこなかったのだが、ライブで何度もいろんなアレンジで聴かされるうちに、どこでだったか妙なタイミングでその良さにハッと気付かされた楽曲。今日のWhyは、まるでこっちの脳内をしらみつぶしに調べ尽くされて、ぐちゃぐちゃになっていた嗜好と偏見をリセットされたような気分にさせる仕上がり。おそらくこれまで聴いてきたなかでピカイチのWhy。寺地さん、おそるべし。
そんな寺地さんの今日のライブは、トリッキーなリズムを多用したり、長々とソロ回しを聴かされたり、がやがやと音数ばかりを増やしたり、転調を連続させてオチが彷徨ったり、テクニックと手癖だけに頼るような退屈なジャズとはまるで違い、いたってスムースで、スマートで、スタイリッシュ。それでいて情緒もストーリーもあって、耳に優しく聴きやすい。巧さよりも想像性で聴かせるライブ。いいものを観たというよりも、いい時間を過ごしたって感じ。ランチライブはこうでなくちゃ。
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寺地さんとは昨年十一月から大みそかにかけて、ほぼ隔週の頻度で計八回の逢瀬を楽しんだ仲。もうすぐそのときの興奮と感動が5倍返しで手元に届く。待ち遠しいぜ。