たのしそうでなにより。
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土岐さんの今年の春のツアーが始まった。今日が初日。北仲通５丁目。
事務所を辞めると、売上とか利益とか、動員数とかランキングとか、それまで事務所から与えられていたセールスに関連するあらゆる数値目標から解放される。こういう音楽をつくろうとか、こういうテーマでやってみようとか、それまで事務所から提案されていたアイデアやヒント、しばりや方向性、契約などからも解放される。アルバムをつくってリリースしてライブをやるというテンプレートなルーチン作業からも解放される。そのぶん収入は少なくなくなるけれど、これからなにをどうやるかは本人の自由、成功しようが失敗しようがそれはぜんぶ本人の責任、フリーランスとはそういうこと。昨春に事務所を辞めた土岐さんは、そんな自由な状況のなかに足を踏み入れた、いわばフリーランスの新人。あとはやりたい放題、タガをはずしてやりまくるだけだ。
という目線で今日のライブをみると、とてもわかりやすい。こんなへんてこりんなライブをよくもまあ洗練されたラグジュアリーなビルボードで。個々の音のバランスとか、ぜんたいの調和とかアンサンブルとか、むつかしいことは抜きにして、とにかくみんなでいっしょに音を出すのが楽しくてしようがない、山小屋バンドのような、のど自慢のバックバンドのような、街のチンドン屋のような、寄せ集めのガレージバンドのようなライブ。なりふり構わずやりたいことをおもいきりやるのはいいことだし、ファンとしてはそんな姿を観られてとてもうれしいし、なんてったっておもしろいし楽しいけれど、やりすぎはいかんよ、やりすぎは。
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東京公演ではバンドの音も少しは固まっているはず。